花ひらくとき

　東京新聞杯をヴァンセンヌが勝った。勝ってくれた。
　デビュー前からいい評判を聞いていたので、順調に成長して行けば、もしかしたら大きいところを獲れる器かもしれないと思って期待してもいた。けれど順調ということがいかに難しいのかは、ＰＯＧなどやっているために余計によく分かる。毎年のように素質馬がクラシック戦線から離脱して行く。
　ヴェンセンヌも古馬になってから戦線離脱することになる。症状が軽いとはいえ、屈腱炎である。これで半分以上は終わったと思い観念した。しかし実績がほとんどない馬なのに、それから１年７カ月もの長期休養に入った。休養が長くなるにつれ、かえって期待感が高まる。素質に期待すればこそ、長期休養に踏み切れるのだと思う。
　昨秋に復帰してきたばかりのときは（いや今でも）、脚が心配で仕方がなかった。けれど復帰してからここまで５戦４勝で重賞タイトルまで手中にしてくれた。
　母・フラワーパークが好きだった。フラワーパークの仔から種牡馬入りする馬が出てほしい。現実にこれが、夢見られそうだなあと思っているところだ。
　ヴァンセンヌ、花ひらかせてくれ。