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2018/11/19 13:17

トラストとテンポイント、あとうちのイヌ

実家で飼っている16歳の犬が、だいぶ弱ってきたので、お見舞いに新潟まで行った。そして、帰京するさいに、看取ることになった。亡くなった次の日、新潟競馬場1Rにて、私の好きな馬が、障害初戦を走った。新潟に残って、見に行けるタイミングではあったが、そういう気にもならず、東京の自宅にて、テレビ中継を見た。亡くなった犬の毛色は銀色で、齢とともに退色し、キラキラ光る白色が大半を占めていた。天気の良い新潟競馬場の朝に、光る芦毛の馬、犬と同じ毛色に見えた。いつもより覇気があるように見えた馬が、無事走りきることを祈って、観戦した。みごと、彼は勝利した。銀色の馬体がキラキラと光って、私の頭のなかはボンヤリとした、幸福感で満たされた。犬の毛が太陽を浴びて、彼のように美しかったことを思い出した。

昨日死んでしまったクロエ、今日、生きているまぶしさを見せてくれたトラスト

正直、この馬は負けると思っていた。以前に見に行ったとき、まるでエネルギーを感じなかった。楽しくないんだな、競馬好きじゃないんだな、と思った。ところが、この日の馬は、イキイキしていた。

犬が亡くなる1週間前に、私は府中競馬場に行った。そこで、展示されていた寺山修司の詩を読んだ。競走馬テンポイントの死を悼む詩だった。胸が熱くなった。テンポイントから、力を貰っていた人々のきもちが、伝わってきたからだ。そして、テンポイントが走る風景も、想像できた。寺山修司が素晴らしいのは、なんと言って良いかわからない思いや場面を、言葉にしてくれるところだ。そう思った。

そして、先日、馬が障害二戦目を走った。私は、また、府中競馬場に行った。天気が良く、前回のように、馬は覇気があり、キラキラと馬体が光り、長い尻尾が美しくゆれていた。彼はこのレースを勝った。私はゴール板を過ぎたところで、走りきった彼を見た。観客は、彼を応援していた。1番人気、2.0倍。彼が1位で走り抜けるところを、たくさんの人が期待していた。見たかったに違いない。きっと、この馬は夢を見せてくれると思っただろう。希望をくれると思っただろう。そういう雰囲気を感じた。馬も、それを受けて走っているように見えた。

みんな、死んでしまう。老いてゆく。怪我や病気で死ぬこともある。生きてる今、今だけ。ああ、うつくしいな。なんでこんなに感動するんだろう。

テンポイントを見て感動した人たちのように、私はトラストを見て感動した。そして、クロエの写真を部屋に飾った。悲しいことに、忘れてしまうだろう。この感動や、犬のあいらしさを。でも、忘れたくない。せめてこうして書いておこう。

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