紅き永遠の美少女。 　そうですか…逝

　紅き永遠の美少女。

　そうですか…逝きましたか…

　パドックで，レースで，そして放牧先ですら気品を身にまとった淑女は…最後まで気位が高かったんですね。

「優駿」誌で見た，光に濡れた紅い髪の下に輝く宝石のような瞳。

　馬ってこんなに綺麗な生き物なのか…ゾクリと来るその美しき美牝の写真は今でも心に残っています。

　気品と強さ。

　春緑のターフに悠然と舞った桜の舞台。

　決して得意ではない長丁場，アナウンサーが「本当にここでいいのか？これでいいのか角田晃一！？」と叫ぶくらい最後方に近い位置から，直線の切れ脚だけで，遥か前方の「シンデレラ」イソノルーブルを追い詰めたオークス。

　そしてまさかの骨折。

　復帰戦，寒さのせいか緊張からか，パドックで少しだけ，とまどうような表情と，なぜかトモを小刻みに震わせていたポートアイランドＳ。

　その後はなかなか結果を残せなかったけど，引退するまでその美しさは他のコたちを圧倒してましたね。

　できれば…お母さんによく似た美しく才気あふれる仔を期待する気持ちもありましたが，シスターはシスター。
　気高い真紅の薔薇は後にも先にも一輪だけのほうがむしろ似合う。
　そう思って自分に言い聞かせてような気がします。

　その美しく強い姿を残して天に舞った紅い華。

　永遠はひとつだからこそ永遠…

　紅き永遠の美少女，ありがとう。

　本当にありがとう。