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2017/05/12 08:08
前田智徳
カープの話が出たので…。
私にとって、前田智徳は外せない存在だ。
孤高の天才。寡黙な侍。
異彩を放った振る舞いや言動が、時に問題になったりもした。が、それは彼がいかに野球に対してストイックだったかを物語っていた。
アキレス腱を断裂してから、彼は常に十字架を背負っていた。自分本来の姿に程遠い事に、絶望しながらプレーしているようにも思えた。
それでいて、あのパフォーマンスである。現代のスポーツ医療が、彼の現役時代に浸透していたら。もしくは彼が今ピークを迎える選手だったら。
間違いなく、日本野球史上最高の左打者になっていただろう。
上背がないのに、ヘッドを高々と構え、それなのにどんな変化球でもバットに当ててしまう。
変化球で崩され、やっとバットに当てたなと思っても、次の球は確実に芯で捉えている。的を絞っていたらあの芸当は出来ない。
本当に『来た球を打つだけ』だったのだろう。
上手く表現出来ないが、彼の場合、ボールが吸い込まれるようにバットに当たっているように見えた。
何度真似たろう。彼の打撃フォームは理想だった。構えに入る前、バットをベース上に大きく払う。
そして被りを深く投手に向け、バットを高々と構えるのだ。肩のラインを顎に付けるように…。
本当にカッコ良かった。
未だ脳裏から離れない。あれほどの打者、これからもお目にかかる事はないだろうな。