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2017/04/19 08:05

原民喜という作家

中学校の国語の教科書にあった『夏の花』。教科書に載るような作品だから、内容は言わなくてもよいだろう。

新潮文庫から出版されている文庫本は、短編の寄せ集めである。がしかし、通して読むと一つの物語。自伝なのである。

とはいえ、70年近く前に早世されているのだが、なんだろう。彼の作品には古さがない。現実的なのである。

見たこともない光景なのに、脳裏に情景が浮かぶ。文面に悲壮感が漂うのに、ちっとも女々しくないのだ。いわゆる小説っぽさもない。わざとらしさが全くないのである。

もし仮に、彼が戦中下の生まれでなかったら。疎開して作品を書こうとするような、熱心な文豪であったなら。

ともすればこういう作品は残らなかったのかもしれないが、違うジャンルの彼の小説を読んでみたかった。

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