プロフェッショナル【武豊】

【第六章　御す】
《第五項　御す=馬を操る》
これらの追い込み馬と差し馬4頭のみで御すを説明することは困難であるが、根本的なことはお分かりになっていただけたのではないかと思う。勿論サイレンススズカやキタサンブラック、そしてマテラスカイといった逃げ馬を代表する馬達を御すことにも長けていることは言うまでもない。
サイレンススズカに始めて騎乗した際には馬場入りから走ろうとするパワーが有り余り、抑えようとしても馬のパワーには敵わず、ゲートにたどり着いた時にはヘトヘトだったらしい。このパワーをどう活かすかを考えて結論付けたのが『逃げ』だった。するとサイレンススズカに絡んでくる馬は皆無で、これ以上ない安全なレースが出来るという新たな発見から完全に逃げ馬に仕立て上げた。又、キタサンブラックに関しては行き脚はあっても切れる脚はないことから、これも又完全に逃げに転じさせた一頭だ。先行し馬自身のペースで走らせてレースを作り、最後はバテない脚でロングスパートをさせる憎い程の御し方である。そしてマテラスカイも又、馬のスピードと先行力を活かせて逃げ馬に仕立て上げた一頭だ。
まだまだ続くよ!!