小学校6年生の時に、親が競馬好きという友達が２人いた。
僕の親も日曜日になると競馬中継を見ていたので、その2人がその年の日本ダービーの話をしているところに知った顔で加わった。
当時、僕自身はあまり競馬のことを知らなかったけど、たまたま前日にテレビで『昭和の名伯楽：尾形藤吉氏』の特集をしていて、その大調教師が最後に手掛けた馬の“ラッキールーラ”がダービーに出走することを話題にしていたことを覚えていた。
そこで、僕はラッキールーラが強いのか弱いのかも知らずに、知ったかぶりでその2人の友達に「ダービーを勝つのはラッキールーラだ！」と宣言した。
友達2人は、皐月賞馬のハードバージの方が強いと主張。事実、後で知ったことだが、ハードバージは1番人気、ラッキールーラは9番人気というオッズだった。
結果はもちろん、ラッキールーラがハードバージを首差凌いで優勝。僕は子供心にまるで自分のためにラッキールーラがダービーを勝ってくれたような気がして、以来、競馬の虜となった。