イクノディクタス　ありがとう。

イクノディクタス、本当にありがとう。

　イクノディクタス様、本当に長い間お金を勇気をありがとう。
昨日歩いているときに、ふとイクノディクタスを思い出した。
「せめて俺よりは長生きして、世界レコードを更新して欲しいな。」
そんなことを思いました。

　昔々１９９１年夏ベトナムダナンで寝ていると、ダンディスピリットが死んだ夢を
みた。日本へ確認してみると、ダンディアポロが競争中の事故で死んでいた。
ダンディスピリットはなんでもなかった。

　昨日は夢でもなんでもなく散歩中に思い出した。虫の知らせなんて信じて
いない。けれども、ほんのわずかだけど、なんとなくそんな気がしないでもない。

　イクノディクタスには本当にお世話になった。
　私は馬主勝野憲明の息子です。しかし、まったく競馬に興味なんかなかった。
中学生のときに、弥富トレーニングセンターに連れて行かれて以来もう３５年
以上になる。そのなかに吉田稔が弟子だった山田厩舎もあった。

　JRAの馬主になっても、さして興味はなかった。
衣斐さんと親父がうるさいので、イクノディクタスが出走した小倉３歳Sを見に
行った。単枠指定で惨敗した。

　翌年秋エリザベス女王杯に生産牧場高田夫妻を招待した。高田栄治は
京都観光の最中もずっと
「わしのつくった馬が勝たんで何が勝つんだ！」と叫んでいた。
ところがレース前のファンファーレが鳴り響くと、高田栄治は涙を流しながら
わんわん泣き始めた。
「レースなんか何着でもいいから、無事に回ってきてくれればそれでいい。」

　「なに言うとんのじゃ、昨日の話はどうなったんだ！」と思いつつ、
生産頭数１０頭を下回る零細牧場の人は、まるで娘のように思ってくれるんだ
このとき競馬が単なるギャンブルではないことを知った。
このときから、私は競馬が好きになりました。

　まっ、簡単に言うと、イクノディクタスのおかげで競馬が好きになりました。

　好きになると、詳しくなりたくなる。どうしたらいいか？尋ねたら、
良い馬を見ること、馬に触ること、などなどと衣斐さんに教えられた。
　見るほうは衣斐さんから高い英語の種牡馬辞典のようなものの１９８６年前後
のものを渡された気がする。ミルリーフが載っていた時代のものです。
　触るほうは、手っ取り早くいつもいつもミスタートウジンを触っていた。笑
なぜか、いつもいるし、デカイ縫いぐるみみたいだった。笑
藤立さん、お世話になりました。

　あの頃は毎週競馬場に行くのが楽しみだった。
それもこれもきっかけも人間関係も作ってくれたのは、イクノディクタス。

　本当に感謝の気持ちが絶えない。でも、不思議だ。
　ミスタートウジンの悲報を知ったとき、場所は中山大学の図書館だった。
文章を見ながら、涙があふれてあふれて止まらなかった。
　でも、今日はイクノディクタスの悲報を知っても、不思議と涙が出ない。
いつかは天に召される日がくることは承知していたが、その日は私の予定では
１０年後ぐらいだった。予想外に早かった。なんと翌日だった。

　イクノディクタス号が天国に旅立っていった。そんなレースは出遅れれば
良かったのに、川原騎乗のごとくロケットスタートを決めて、天国へ逝って
しまった。もっとゆっくりで良かったのになあ・・・。

　ところで、JRAの一部職員はこのニュースを聞いてどう思っているのかな？
「西谷の馬、とうとう死にやがった」とでも言っているのだろうか。
そうだと残念だな。

　西谷さんもイクノディクタスも結構JRAに貢献したと思うんだけどな。
まあいい。

　イクノディクタス、ありがとう。
思いは書ききれない。