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2013/11/14 07:09

キツネとリス

ロンドンの公園に行くとすぐにリスが目に付く。残念ながらこのリスは灰色で、アメリカ大陸から来た外来種だ。イギリス固有のリスはくっきりした茶色だが、外来種は野性的なうえ、アメリカから病気を持ってきたため、イギリスのリスは追いやられ、かなり減って今ではスコットランドにほそぼそと生き残っている程度になってしまった。

自分の家の庭にも灰色リスがいっぱいいる。

昨年から勝手口の戸を叩いて(?)ナッツをもらいにくるリスがいた。ある日自分が鳥のエサにでもなるかなと思って朝食のシリアルの箱の残りを勝手口の外にまいたら、それを拾いにきたのがきっかけだった。

殻のままのくるみをあげたら喜んで(?)庭にとんでいって器用に地面に埋める。真冬に掘り起こすのだろう。他のリスに見つからないように埋めた後ちゃんと土をかけ整地するのを忘れない。そしてまた戻ってきてナッツをくれと言わんばかりに待っている。

人なっつっこいので、すぐに手渡しできるようになった。カシューナッツやクルミをあげると小さな両手で受け取ってその場で食べ始める。

自分が台所でお湯をわかしたりしていると、ドアに体当たりして‘ここにいるよ!’と知らせる。

あるとき頭からほそい小枝のかけらをぶらさげてきて、それが辮髪のようだったので、コディーノと名づけた。コディーノの騎手がまだ横山で、活躍を期待されているときだった。

ロンドンではキツネも頻繁に見る。彼らは都会のキツネだ。キツネは臆病な動物で人がほとんどいない午前3時・4時ごろに活動しゴミをあさって残飯を食べたりする。キツネはひとつの場所に定着することはなく、定期的に移動するのだが、自分の庭にときどき同じキツネがくるようになった。

自分の猫の食べ残しを勝手口の外に置いておくと、野良猫が食べる。そのキツネは仲間とケンカしたのか、一緒に行動しないことにしたようで、食べ残しをあてにしてくるようになったのである。自分の猫と庭でかちあっても攻撃したりすることはなくおとなしくお座りしている利巧そうなキツネだ。コンちゃんと命名した。キツネは人間に慣れることはないが、コンちゃんと呼ぶとおそるおそる寄ってくるまでになった。

数週間前のことだ。自分はコディーノにナッツをあげたあと、猫の食べ残しを家の外に置いておいた。

台所のドアに何かぶつかる音がした。

猫の食べ残しを食べていたコンちゃんがまだナッツをもらえるかと思って不用意に訪れたコディーノを見つけて襲ったのである。
コンちゃんがコディーノをくわえて去っていくのを目撃し、追っかけていった。コンちゃんは止まって自分を見つめた。

コディーノを返せと言った。コンちゃんはしばらく自分を見つめていた。

コディーノがコンちゃんの口から逃げようとして動いた。自分はキツネに詰め寄った。

キツネはコディーノをくわえたままひらりと塀を飛びこえてコディーノとともに隣の家の庭に消えた。

すべて自分が悪かった。獲物がそばにくれば飛び掛るのが野生の常である。

コンちゃんはしばらくしてからまた訪れるようになったが、自分はもう食べ残しを外に置いておくのはやめた。コンちゃんは数日で理解したようで、もう自分の庭に来ることはなくなった。

コティーノのために買ったナッツの山がそのまま残っているのを見るたび自分のアホさ加減が許せない。

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