ストライキへの見解　師匠からのサジェッション含

　もうだいぶ前のことになりますが、ＪＲＡさん絡みでのお仕事を頂いて
　いたことがあります。といっても代理店さんからの請負というカタチで
　でしたが…。それでも各競馬場の職員さんらとの直接のやり取りなども
　あるようなそんなお仕事でした。(仕事内容はまた別の機会に。

　その時々のＪＲＡさんの考え方の方向性は、毎年お正月に発表される
　理事長の懇談記事などに示されますが、カジノ法案の協議が具体的な
　進行が見られるようになると、やはり大きく影響を受ける可能性がある
　ことを深く認識されている感じでした。
　※あまり深くお伝えすることが出来ない点はご理解願います。

　シンガポールなどの例をご覧頂いても判る通り、売り上げが大きく落ち
　様々な面での品質維持が困難になるという危惧は経営や企画に関わる
　職員の多くは持たれていたと思います。その中での「売り上げ回復」と
　「公正競馬の維持」とについてが課せられた大きな命題でもありました。

　後に採用された「クラス分けの呼称変更」も、直截言葉にはせずとも
　「そのような意図があることは汲んでね」というくらいの呼吸が必要な
　そんな立場でのお仕事だったように感じています。
　ＪＲＡ職員さんらの中に共有されていた、カジノが具体的現実性を帯び
　て売上金が大きく減少した場合、それまでの金額での呼称を継続すると
　賞金減額の際のイメージのマイナス効果が更に追い打ちをかけるだろう
　という感覚。どうすればそのリスクを排除できるのかというアイデア。
　長く競馬を続けてきた師匠は違和感を感じていたようですが、お見事な
　リスク回避策ですね。

　ところがその後は各種講じた策が功を奏したか、様々なリスクを回避し
　ながら上手に時流に乗れたからか、国内のカジノについては具現化が
　見られぬまま、カジノグループは東京オリンピックへと関心を移し、
　更にはコロナ禍でパチンコ産業などが大きく売り上げを落とした結果、
　地方も含め「競馬」は想定以上に大きく売上を伸ばすことに。

　その時流の初期に打った手の一つが今回のストの背景にもなっている
　〈厩務員の賃金改革〉だったとも感じています。
　※断言致しませんことくれぐれもご理解下さい。

　ＪＲＡさんは国の組織にも繋がっていますから、国会の審議などで
　「同一業務同一賃金」などというテーマが語られ、政府が推進へと舵を
　切った段階で、組織としてもすぐに従う感覚もあったのかも知れません。
　地方競馬の厩務員と中央競馬の厩務員との賃金をはじめとする格差が
　地方競馬就労への妨げになると感じれば、直ちにリスク回避のために
　最低限の手立ては取っておくという、とてもインテリジェンス性の高い
　スマートな組織にも感じられました。


　つまり厩務員の賃金規定の刷新は、〈調教師会と労働者側の対立構造〉
　というだけでなく、その調教師会への幅広い許認可権を持つＪＲＡさん
　の政治的意向が働いている(であろう)ということです。


　ここからは法規上の問題になりますが、労働者組合さんが直接交渉を
　行えるのは雇用主たる調教師会へのみであって、当の調教師会さん側が
　回答権限を持っていないケースではいくら粘り強く交渉を重ねた処で、
　今回交渉文言に含まれている「旧賃金体系へ戻す」点については、
　具体的な変更という回答は一切得られないだろうということ。
　「賃金上昇」とか「就労者拡大策への努力」という点では、一定の
　着地点はみられるでしょうけれど…。

　コンビニの店員さんがどんなに直接交渉を願っても、雇用主を越えた
　コンビニ各社とは交渉権を持たないのに似ていますね。

　その交渉には直截的に関係はしないながらも、もう一つ大きな問題が
　「コロナ給付金」の不正受給問題です。手塚調教師会会長はしっかりと
　清廉な解決へと推し進めようとかなり努力されておられたようですが、
　結果的には一般公表も無ければ、比較的緩和な処分で済まされました。

　これはＪＲＡさんに対して大きな借りを作ってしまったこととも同義で、
　益々調教師会さん側からＪＲＡさんへの要望が通り辛い状況にあるように
　見えます。
　もう一日、本日17日の交渉が設けられているようですが、組合さん側が
　どこまで〈旧賃金への復帰〉に対し重心を懸けてくるかという点が、
　今週末のストの有無という着地点に結びつくような感じがしています。


　何処かでは皆様のお考えも伺ってみたい気持ちはありますが、それぞれ
　にお立場やご意見もあるでしょうから、コメントはＮＧとさせて下さい。