デビュー前の故障

　出資馬の中に、エースや４番バッターは元より居りませんが、
　頑張れば新人ながら６番くらいは任せられそうかなぁなどと
　思っていたマルグアレイス君が右前橈骨遠位端部の骨折との
　報が入りました。これはさすがに沈みましたねぇ。
　
　かなり早くから行ける状態に持って行けた感じの仔でしたが、
　所属先厩舎には３歳未勝利馬が春先の時点で20頭以上残って
　いたため、途中から育成ペースを大幅にスローダウン。
　それでもさすがに上がってきたので５月末に移動、そのまま
　Ｇ試験のため入厩。6/17に合格し計28日間厩舎で過ごさせて
　もらいました。退厩は6/25。

　この仔は冬でも身体から湯気が出ているような仔で、きっと
　血流が良く心臓も強い仔だと思うのですが、その所為か夏の
　暑さにはからっきしな感じのところもありました。
　特に今年の暑さは、早くから始まり世界的な猛暑がみられる程
　でしたので、福島の外厩で夏バテが元で少し調子を崩し足許の
　怪我(程度の軽いもの)を負い、しばらくお休みしていました。

　暑さへの耐性の無さは写真で見る表情にも出ていたのですが、
　この仔の持ち味だったお尻の筋肉も判るくらいに落ちて来て
　いました。それもこれもこの暑さじゃ仕方ないねぇくらいに
　みていたのですが、外厩先判断で10月終わりのデビューを想定
　したため、まだ少し暑さの残る先々週位から調教をアップ。
　来月頭の帰厩を見ていた中での今回の骨折報告でした。
　馬の状態と相談し、調教のペースアップをもうあと２〜３週
　待ってあげられる余裕があったならと…。あるいはもう少し
　丁寧に馬の表情をみながら進めてもらえていたらなぁとも。

　現時点ではまだ精密な検査は受けていませんし、骨折の程度・
　手術の有無など報告は出てはいませんが、状況次第では、
　半年程度〜それ以上の療養期間が必要になりそうです。
　緒戦勝ってくれたら年明けのジュニアＣなどと勝手に想像して
　いたのでショックも大きいですが、それ以上に冬馬という彼の
　復帰が暑くなって来る時期にかかることが大きな不安であり
　心配の種です。

　ＮＦ天栄さんではセレクト購買馬など関東所属馬のさらなる
　受け入れを行うべく、２〜３年前から施設規模の拡張を図って
　きましたが、その拡張に対応する人材の育成スピードや補充が
　追いついていない感じですね。
　それ故、異言語間でのコミュニケーションエラーや、ライディングに
　強く意識が向くあまり馬の状態確認がおろそかになってしまう
　ケースなども、残念ながらいくつか目に付くようになっています。
　異常を感じながら骨折を発見するまでに１カ月も要してしまった
　カーペンタリア君(♀)などのケースも…。
　規模拡張に伴う同様のトラブルは、各種工場や流通業における
　現場などあらゆる業種でも目にすることですが…。

　競走馬は生き物ですから人様の都合や状況だけで動かすことなく、
　日々、刻々各馬の表情や状態を正しく読み取る時間を設けるなど、
　まだ会話のままならない子供を育てていくような感覚で預託馬の
　育成と強化とをおこなって頂きたいと心から願っています。

　きっとＮＦ天栄の経営を担う方々が忙しすぎるというのがあるので
　しょうが、それはどの企業においても外部への言い訳にはならない
　ことは是非ご理解頂ければと…。
　　辛口御免なさい。

〈追補〉藤沢和雄元調教師とアドバイザリー契約を結び、厩舎管理や
　運営面のアドバイスをもらえるようにするなども一つの方法かと。
　もちろん藤沢氏は牧場のご子息であったり、シンボリや大樹さん
　などとの関係が深いなど様々困難な状況はあるでしょうけれど。