祝砲

工藤ホークスが「祝砲３発」でＤｅＮＡに快勝した。王貞治球団会長（７８）の結婚が発表された１日、温かい目で成長を見守ってきた“まな弟子”たちが豪快なホームランをプレゼント。昨秋の頂上決戦で苦しめられた左腕の今永を上林、甲斐、柳田の３発でＫＯだ。ちょっと前まで青息吐息だったチームが１２球団で唯一の交流戦開幕から４連勝と、すっかり息を吹き返した。

■今永を３回ＫＯ

　お祝いはにぎやかな方がいい。試合前に球団が発表した王会長の吉事。祝砲を放ったのは“まな弟子”のバットだった。１点を追う２回１死二、三塁。上林が、今永の甘いスライダーを右翼席中段に突き刺した。５月９日の西武戦以来、１９試合ぶりの４号逆転３ラン。チームの勝利はもちろん、祝福ムードをつくった。

　「犠飛でも何でもいいという思いで打席に立って、最高の形になってよかった。『持って』ますね」

　直近の５試合で２１打数１安打。そんなスランプを忘れてしまうほど驚いたのが、王会長の結婚だった。「ロッカーのテレビで見て、びっくりした」。入団以来、目をかけてもらい、今春の宮崎キャンプではマンツーマンでの熱血指導を受けた。オープン戦の期間中には、チェックポイントを記した直筆のメモも渡された。無心で振り抜いた一発は恩返しの祝砲となった。

　快音は終わらない。２死後に、甲斐が外角高めのチェンジアップを右翼テラス席へ運んだ。甲斐も王会長から薫陶を受けた一人。今春のキャンプ初日に、誰よりも真っ先に打撃指導を受け「打つ方を頑張れ。一番、金になるのはバッティングなんだ」との「金言」を授かった。ブレークした昨季はシーズンで５本塁打。今季は早くも４本目となり、王会長を喜ばせた。

　となると“真打ち”も黙ってはいない。３点リードの３回。走者を１人置いて、柳田が今永の内角ストレートを捉えた。チームトップの１３号２ラン。打球は天井に届きそうな放物線を描きながら、右翼席中段の１４５メートルの飛距離表示がある通路近くまで届いた。試合前、選手サロンで「ご結婚、おめでとうございます」と王会長に声を掛けると「祝砲を打ってくれ」と返されたという。ルーキー時からたびたび助言を受け、今や球界を代表するスラッガーとなった。雲の上の存在だった王会長の“おねだり”にも完璧に応えた。

　昨秋の日本シリーズで苦しめられた今永を３発で３回ＫＯ。藤本打撃コーチが掲げた「外から真ん中に入ってくる球や、真っすぐを打てるか」とのテーマを実践した。得意の交流戦で無傷の４連勝。バックネット裏で快勝を見守った王会長も目を丸くした。「ホームラン攻勢だったね。（結婚発表の日に）別にめでたくないよ。勝ってよかった」。現役通算８６８本塁打。世界で一番ホームランを放ち、魅了してきた。うれしくないはずがない。


記事は西日本スポーツ様より・・・


王会長おめでとうございます。


得意の交流戦で４連勝。息を吹き返した鷹が

西武・日ハム追撃へ舞い上がる。