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2017/10/30 08:59
神の手・・・
「神の手」で連勝だ。工藤ホークスが2年ぶりの日本一へ、大きな1勝をつかみ取った。2点ビハインドの7回に柳田の適時打で1点差に迫ると、満塁から中村晃が逆転の2点タイムリー。ヘッドスライディングで本塁に突入した二塁走者の今宮が一度は「アウト」と判定されたが、リプレー検証の結果「セーフ」へ覆った。連勝スタートの日本一確率は74・3%。これで日本シリーズの同一球場では歴代2位タイの8連勝だ。本拠地での強さを敵地の横浜でも発揮する。
ものすごい勢いで、工藤監督がベンチを飛び出した。激しいジェスチャーで主審にアピールすると、すぐにリプレー検証が開始された。観客席だけでなく、日本中が固唾(かたず)をのんで待つこと、約6分半。一度はアウトとされた判定はセーフに覆った。喜びを爆発させた工藤監督は、力強く拳を突き上げた。
「信じて待っていた。今宮君の手が先に入ったように見えた。素晴らしいヘッドスライディングが勝利を呼んだ。気持ちで勝ち取ったセーフ」
まさに「神の手」だ。柳田の適時打で1点差に迫り、なお2死満塁となった7回。中村晃の痛烈な打球が右前へ抜けると、柳田に続き、二走の今宮も三塁を蹴り本塁へ突入した。送球がやや一塁側へそれると、捕球した戸柱の倒れ込みながらのタッチと、今宮のヘッドスライディングが激しく交錯。スロー映像で見ても微妙なタイミングだったが、今宮の左手が、わずかに先に入ったと判定された。
「三塁を回ってアウトかなと思い、普段あまりしないヘッドスライディングでいった。飛んでいった感じ。究極の選択だった」
生まれ持っての野球センスが、頂上決戦の大舞台でも輝いた。父は少年野球の監督で母はコーチ。兄2人もプレーした野球一家に生まれた。ノックもこなしていた母一子さんのおなかにいたころから、グラウンドにいた。初めてボールを触ったのは生後6カ月のころ。現在まで数えきれないほどの少年たちを指導してきた父美智雄さんは、高校生と平気でキャッチボールをする小学生時の健太少年を「あきらかにセンスが違った」と振り返る。「神の手」直後の8回には、ロペスの三遊間最深部のゴロをさばき素早い送球。球界最高峰のプレーを全国に示した。
工藤監督は27日の監督会議で、審判団に本塁でのクロスプレーについては、微妙なタイミングの際はできるだけリプレー検証を行ってほしいと強く要望していた。「こういう形でお願いして、セーフという素晴らしい結果になったのは良かった」。現役時代に歴代最多タイとなる14度の日本シリーズ出場。1プレーが、シリーズ全体の流れを変えることも分かっている。「勝負師」の執念と「野球小僧」のセンスが、珠玉の2勝目をもたらした。
まさにラッキーセブン。仕事手につかなかった(笑)。
全員でもぎとった3点。
地元で連勝と最高のスタート。一気に頂点へ加速する。