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2013/06/01 12:30
ケンタッキーダービー馬が1990年以降種牡馬として成功しなくなったのを示すデータ
http://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/78553/pedigree-kentucky-derby-winners-as-sires
40年前のセクレタリアト/Secretariatから昨年初年度産駒がデビューしたビッグブラウン/Big Brownまで、36年間のケンタッキーダービー馬の種牡馬成績が紹介されている。牝馬、せん馬が勝ったり、現役中に死亡したバーバロ/Barbaroもいるので、実数としては31頭。あと、理由は分からないけど2頭のデータが紹介されていない。
掲載されている数値はステークス勝ち馬率、ステークス勝ち馬数の2つ。ステークス勝ち馬率は「ステークス勝ち馬数÷誕生した産駒の総数」で導き出される数値を%に換算したもの、ステークス勝ち馬数は単純にステークスを勝った馬の総数。
ステークスはノングレードの準重賞、もしくはそれ以上のレースで、ここでは後者の「準重賞以上」を指す。ちなみに前者の意味としてはオープン特別に相当する。でも、アメリカはノングレードの準重賞が重賞より断然多いので、日本のオープン特別と単純にあてはめても違うかなあという印象だけどね。
以下に2つのデータのベスト5を載せていく。
西暦はダービー出走年で、これを-3した数字が生年となる。
■ステークス勝ち馬率トップ5
1位 12.4% 1981年 プレザントコロニー/Pleasant Colony
2位 11.4% 1989年 *サンデーサイレンス/Sunday Silence
3位 10.9% 1977年 シアトルスルー/Seattle Slew
4位 10.2% 1978年 アファームド/Affirmed
5位 9.1% 1975年 フーリッシュプレジャー/Foolish Pleasure
■ステークス勝ち馬数トップ5
1位 172頭 1989年 *サンデーサイレンス/Sunday Silence
2位 114頭 1977年 シアトルスルー/Seattle Slew
3位 93頭 1995年 サンダーガルチ/Thunder Gulch
4位 86頭 1978年 アファームド/Affirmed
5位 77頭 1981年 プレザントコロニー/Pleasant Colony
前に掲載したステークス勝ち馬率、ステークス勝ち馬数とも、ほとんどの上位は1990年以前の馬が占めている。特に1970年代は失敗扱いでも1990年以降よりマシだったりする。1980年代になると、ファーディナンド/Ferdinandのような大失敗が出てくるが、プレザントコロニー、アファームド、サンデーサイレンスのような非常に優秀な種牡馬成績を残す馬もいて、アベレージは依然として高い。アリダー/Alydarとの比較で失敗種牡馬のイメージがあるアファームドもこうしてみると良好な数字を残しているんだよね。
1990年以降は一転して勝ち馬率10%を超えた馬、勝ち馬数100頭を超えた馬はゼロ。10%超え、100頭超えは名種牡馬のボーダーだと思うので、ケンタッキーダービー馬は名種牡馬にあらず、といってもいいデータなのは明らか。1990年以降で名種牡馬といえるのは早くに死んだアンブライドルド/Unbridledくらいだろう。でもこれだってボーダーギリギリの1990年のダービー馬なんだよね。ステークス勝ち馬数3位のサンダーガルチは、勝ち馬率が4.1%とかなり見劣りする数字で、1990年代後半からの種付けの精度が向上したことで、多くの産駒を残したゆえの数字だといえそう。
記事では豊富なスタミナが必要とされていた時代のダービー馬は種牡馬として成功したけど、その後はスピードが重要になったので成功しなくなった、という論調だけど、こうしてみるとハッキリわかるかな。昨年の二冠馬アイルハヴアナザー/I'll Have Anotherも日本で種牡馬入りしたことでも、クラシックの栄誉と種牡馬としての価値が直結してないのは確かだろうね。