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2017/01/02 20:33
藤田菜七子 激動の16年から躍動の17年へ「19歳の真実」に迫る 其の1
2016年の中央競馬で最も目立っていたジョッキーは、ルメールでもM・デムーロでも武豊でもなく、この人。16年ぶり7人目のJRA女性ジョッキーとなりJRA6勝、地方8勝を挙げた藤田菜七子だ。3月のデビューからJRA内外の競馬場を飛び回り、行く先々でナナコ・フィーバーを巻き起こした人気者は、秋には海外騎乗も経験。競馬認知度アップの使者としても、19歳の若手騎手としても大きく躍動した。ここでは激動の16年を振り返ってもらい、17年の飛躍への意気込みを聞いた。(聞き手・競馬ライター=平松さとし)
――16年3月、ついに騎手デビュー。当時の気持ちは
「小学生で競馬を知り、中学のころには騎手を目指していました。競馬学校では一度挫折を味わい辞めようと思ったこともあっただけに本当にうれしかったです」
――それにしてもすごいフィーバーぶり。テレビのワイドショーにも取り上げられた
「自分でも驚きました。こんなに騒がれると思っていなかったし、正直どう対応していいのか戸惑いました」
――懸命に対応しているように見えた。それができた原動力、支えになったことは何だったか
「師匠の根本先生や厩舎の兄弟子元気先輩、悠太郎先輩がアドバイスを下さったり、あとは地元の友達が“応援してるよ”と声をかけてくれたりしたことが大きかったです」
――JRAデビューに先駆けて川崎競馬場での騎乗が決まった
「はい。ありがたかったです。本来予定していた、うちの馬以外も依頼していただき、パドックでもすごい声援で励みになりました」
――あまり緊張しない性格と言っていたが
「さすがにデビュー戦は緊張しました。でも、ゲートに入った後、1頭除外になり、仕切り直しになったんですね。“えぇ!?デビュー戦でいきなり!?”と思ったら意外と緊張がほぐれました(笑)」
――初めての実戦はどうだったか
「“行けたら前に行ってください”と指示されていたのですが、その通りに乗れませんでした。当然なんですけど難しいというか、思うようにいかないなって痛感しました」
3月5日には待望のJRAデビュー。中山競馬場ダート1200メートルの未勝利戦。騎乗したのは自厩舎のネイチャーポイントだった。
――それまで3戦して9、5、10着という馬でしたが、菜七子フィーバーの効果か3番人気
「はっきり見なかったけどそれなりに人気になっているとは思いました。普段おっとりして動かないタイプなので1200メートルでついていけるのかな?と思っていました」
――しかし、2着に好走
「最後いい末脚で伸びてくれました。レース後、周囲の皆さんに“すごい”と言っていただいたのですが、本当は先行するように指示されていたので自分としては納得できませんでした」
――それでも初めてのJRA騎乗は思い出に残った
「そうですね。今までは厩舎のお手伝いとかで馬を送り出す側だったのに、逆に送り出されたのは不思議な感じがしました。レース自体は模擬レースとは違って厳しかったですね」
――待望の初勝利は4月10日の福島競馬場。古馬500万条件で騎乗したサニーデイズは2番人気
「追い切りにも乗せていただき、いい馬という感触は持っていました。直前も2着にきていたので、勝ちたいという気持ちで乗りました」
――早めに抜け出して悠々と押し切り
「半分くらいは思った通りに乗れました。でも“勝てる!?”と思って焦ったので先頭に立つのが早過ぎました。もう少し我慢しなくちゃいけなかったと後で反省しました」
――それでも初勝利の味は格別だったのでは
「注目されているのは分かっていたのでホッとしたというのもありましたけど、皆さんが“おめでとう”と言ってくださったので本当にうれしかったです。後で守谷駅に“菜七子おめでとう”という横断幕が張られている写メが送られてきてビックリしました(笑)」