質問の回答　プロディガルサン

質問を頂きましたので、回答いたします。


：質問：

御質問があります。
先日の新馬戦プロディガルサンのレースです。
私も、直線での手前を3回くらい換えてたのに心配しておりました。
YouTubeでは、あまり換えすぎるのは疲れやすいとか脚元に原因がと、仰っておられましたが、新馬では、よくありがちなんでしょうか？また成長と共に直ったりするのでしょうか？
期待してますので、ご回答宜しくお願いします

対象動画：https://www.youtube.com/watch?v=5tSl6JyV7WE

：回答：

手前変換を行う理由として「片方の手前でずっと走っていると、片方の脚がつかれてしまう」ので、馬は手前を替える必要があります。
人間でも右手に重い物を持っていると疲れてきて、左手に持ち替えますが、それとほぼ一緒です。
※因みに、JRA総研の研究によると、右手前の時は左前脚、左手前の時は右前脚に負担がかかるようです。

なので、「替えすぎると疲れる」と言うのは誤解で（誤解を招く言い回しをしていてすみません）、「疲れるから替える」と言う表現が正解です。
これが、手前を何度も替える＝脚に何らかの異変がある可能性があり得る
と解釈される由縁です。


ただ、プロディガルサンの場合で行くと、それはどうなのか、と思います。

普通、府中は200m付近まで右手前→200m以降は左手前と、1回だけ手前を替えるのがセオリーなのですが、プロディガルサンは右→左→右→左と３回も手前を替えています。
これに関して、レース後に戸崎騎手が「馬が遊んでいた」とコメントしているので、それが原因だと思います。

馬にも「遊び」や「退屈」の概念があります。
数分程度静止させているときにハミをガチャガチャして、遊ぶ事もありますし、サク癖も退屈しのぎのための遊びの一種です。洗い場で人間を軽く噛む馬もいますが、これも遊び。結構痛かったりするんですけどね（汗。

とにかく、退屈を感じると何か動作を起こして、退屈しのぎに遊びをする馬がいるんですね。
プロディガルサンの手前変換もこのクチだと思います。イスラボニータもそうだと思っています。

さて、レース中に遊んでいる馬を治すにはどうしたら良いか。

答えは一応、簡単。
ムチで叩けばよいのです。特に若い馬にはこれが必要です。
遊ぼうとしたらムチで叩く事により、馬が「レース中に遊ぶのはいけない事なんだ」と学習し、そういった行動を取らなくなります。馬の性格にもよる部分もかなり大きいのですが。

2005年の皐月賞でディープインパクトに騎乗していた武豊騎手が、
「いままでストップ＆ゴーの競馬をした事が無かったから、道中ポジションを上げた所で馬が気を抜いた。だから、ムチを使って、まだまだレースがあるぞと言う事を教えた」
旨をコメントしていますが、それと同じようなものです。

ただ、これは新馬では意外にデメリットもあって、新馬戦でムチを使うと「レースではムチで叩かれる。いやな場所だ」とも認識してしまう恐れがあるので、今回、戸崎騎手は、馬が遊んでいるのを把握しつつもムチで叩かない事を選んだのではないかと思います。

ムチの使用は長期的に見てあまり良い事はないですからね。
基本的に使えば使うほど馬が慣れてしまうので、効き目が薄くなります。
一生懸命走って欲しいのに、一生懸命走ってくれなくなります。
「古馬になって手を抜く」馬もいますが、多くは概ねそういう理由によるものです。

なので、プロディガルサンの手前変換が頻繁なのは、あまり気にする事もないかなと思っています。ある程度調教が進めば改善されるでしょうし、もう少しすれば人間側も厳しく調教をしてくるようになると思いますし、遊べるほどの相手とレースをする事も今後は少ないでしょうし。

次走は東スポ2歳Sの様ですが、調整期間も長く取れるので新馬戦で見せた課題を上手く修正して、レースに臨んでくれると思いますよ。