サングラス

長年、愛用してたサングラスが消えた

ここ一番の時には常に着用してたサングラスだ

本当に、金の無い時に16年付き合ってた彼女が買ってくれたサングラス…

仕事や修羅場に行く時は必ず身に付けて臨んだ

自分と同じ様にボロボロになってたけど自分の体の一部だった

あんな型のレイバンのサングラスはもう売ってないから墓まで一緒にいこうと決めてたのに

又、どこからか出てくるかもしれないけど今は見当たらない

無くなる時は何もかも一気に無くなるんだなと思った

今、残ってるのは日に日に弱っていく自分とお袋だけだ

あの、サングラスはいつも自分を見てくれてた

もう、自分を見る必要が無くなったから消えたのかな

心臓を手術して丸１年

何故、死ねなかったのか悩む時が頻繁に自分を襲う

お袋も日に日に弱っていってるし自分もそうだ

泣けそうになった時はいつもサングラスをかけてた

あの、サングラスは自分の涙がかなり染み込んでたよ

お袋には言えないが最近、心臓が酷く痛い日が多い

後何日、自分は生きれるのだろう

気力は全く衰えてないが体力の衰え方が速すぎる

今になってお袋の気持ちがよく理解出来るようになった

先日、死を恐れだした自分が存在するのを感じた

手術する前はいつでも死んでやると思ってたのが今は死が迫ってくるのを恐れている

遠征してる時にホテルの部屋でサングラスを自分の前に置いて何度も語り合った

あの頃は死なんか微塵にも恐れてなかったな〜

自分も、普通の人になってしまったのかもしれないな

よくサングラスに言った

俺も一度は結婚したかったよ ってね…