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2016/09/29 17:30
昆虫の話 -4
上:
館山市のサイカチ
(歴史的な遺産としての植物)
下:
その本体
昆虫の中の1グループに甲虫類がある。現在使われているこの「甲虫」という分類名だが、そもそもは介虫(かいちゅう)と称されてきた。
この語は明治時代に英語の[beetle]、ドイツ語の[kafer]に対する訳語として「甲翅虫」という語に置き換えられ、これが「甲虫」として現在に至るのだが、途中(昭和時代)で「鞘翅目」という語が分類名として使われた経緯もあり現在では並列して表記される事が多い。
一番新しい分類名は「カブトムシ目」などという教養のカケラも無い頭の悪い学者の提案のような名称に置き換えられつつある。昆虫マニアとしては嘆かわしい事態である。
…で、ここで画像だが、日本産カブトムシの方言名の中に「さいかちむし」という語(※1)がある。千葉県南部では方言名として「せーかち」「しゃーかち」の名前でカブトムシを呼んでいた。訛りだろう。
※1
『広辞苑』にもある。
この「さいかちむし」の語源となったのがサイカチというマメ科の植物。
鞘翅目(甲虫目)をカブトムシ目などという語に置き換える前に、まずは「カブトムシ」という語自体が京都の方言(※2)である事も覚えよう。理系人間の合理化にも善し悪しがある。
※2
『語源海』東京書籍/2005、『語源辞典 動物編』東京堂出版/2001など。
関東では「つのむし」「おにむし」の系統の方言名が一般的だ。