競輪
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2019/08/24 14:45
馬を御す ３
ここまでは御すの基本中の基本である
御すとは”馬をコントロールする事で暴走させない事”である。
という話でした。
そして今回からは、御すという言葉の意味の中の１つである、
レース中の騎手による巧みな操縦の事についての話をしていこうと思います。
ただし、しつこいようですが、あくまで御すという言葉の基本的な意味は
暴走させない技術であり、その中の１つが巧みな操縦術なのだというのは
決して忘れないようにして頂きたいです。
日本語や専門用語というものは、正しく定義し、正しく使われてこそ
その真価を発揮するのであって、定義に誤解があっては逆効果にさえなりかねないからです。
そして、言葉をしつこく定義するのは、
互いに共通の定義を共有する事が、誤まった解釈を回避する方法になるからです。
さて、レースでの巧みな御法にも色々なものがあると思いますが、
手始めは真っすぐに馬を走らせるという話からしましょう。
ＪＲＡ競馬では、馬を真っすぐに走らせるクリーンな騎乗は当たり前。
そうでなければ斜向によって減点になってしまう場合だってあるでしょうし。
でも、それは単なるお題目にしか過ぎません。
何故なら”そもそも競走馬は真っ直ぐに走れない”ものだからです。
最近ではメッキリ減りましたが、
昔は「騎手はレースで真っ直ぐに走らせる事が大事で、それが出来て初めて１流騎手だ」
みたいな風潮がありました。
レースでの安全面やクリーンな勝負を目指すべきだという意見なのでしょうね。
それ自体は理想としては１理あるとは思います。
しかし、現実問題として、レースで仕掛けられスパートした馬というのは
�ー蟾砲魴磴靴�シゴクのでどうしてもハミが緩む瞬間や、ハミが真っすぐ向かない瞬間も生まれる
�▲爛舛鯑�れる場合は、片手手綱になる訳で左右バランスがどうしても崩れがち
�Ｇ呂�バテて来るとヨレてしまう
他にも、馬の悪癖でモタレるとかいろいろと考えられますが� 銑�というのは、全てレースの
勝負処で一気に起きる訳です。コレら全てに対応して真っ直ぐ走らせ続けるというのは事実上無理なのです。
あくまでも真っ直ぐ走らせるというのは理想であって現実には無理なので
騎手達は”なるべく”真っ直ぐに走らせるように馬を御している訳なのです。
昔から現在でも、日本人騎手で最も馬を真っ直ぐに走らせてるのは武豊騎手だと定評があります。
（実際に武本人は言いませんが、武自身がクリーンな競馬を強く意識していると私も思っています）
例えば、直近のＧ１安田記念ではロジクライに乗って最後の直線ではシッカリと真っ直ぐに走らせていました。
是非、ＪＲＡ公式のパトロールＶＴＲで最後の直線ではロジクライ武が如何に真っ直ぐに走っているか、
そして真っ直ぐ走らせる為に御す技術を総動員しているかをご覧になってみてください。
※安田記念の最後の直線の画像をラスト４００ｍ付近とゴール前付近を用意しましたので
それも参考にされると良いでしょう。しかし実際のパトロールＶＴＲを観るのが絶対にお薦めです。
ですが、日本ダービーでは武は、真っ直ぐに走らせる事はしませんでした。
安田記念の時とは別人かのように最後の直線では蛇行気味に外へ外へと向かいます。
理由は１つでも上の着順を目指して必死に追っているからだと思われます。
（逆に言うと安田記念はスタート直後で他馬に迷惑が掛かる形の斜向をしてしまっていたので、
その後は真っ直ぐ走らせる事に全力を注いだのでしょう）
今年のダービーも是非ＪＲＡ公式のパトロールＶＴＲをご覧になる事を薦めます。
真っ直ぐに走っていない理由は、馬群から抜けて外へ出したいという考えからでもあるのでしょうけど、
かなり無茶な外への進出ですし、他馬にぶつかってもお構いなしでした。
武豊のこういった走りの違いからも、必死に上の着順を狙うと名手であっても
真っ直ぐになど走れないと解っていただけたでしょう。
因みに、サラブレッドはラチ沿いや併せ馬になると、実質的に片側が壁になる訳ですから
真っ直ぐに走り易いですし、騎手としても操縦が楽にできます。
（それでも馬によっては蛇行したりする場合もありますが）
つづく
- バラン
- ロジクライ
- パトロール
