思い出のダービー(外伝)

ウイニングチケットが勝った第60回ダービーは、自分にとっての思い出のダービーの１つです。

その時のサイドストーリーです。

当事、競馬に前のめりでハマってた自分は、ダービーの当該週、何か良い情報はないかと、ほとんどのスポーツ新聞を買い込み、毎日読み漁ってたのですが、有力馬ウイニングチケットの主戦・柴田政人騎手のコメントだけは、どこを探しても載っていませんでした。

で、ダービーが終わり、1カ月くらい経った頃、ある雑誌に、確かこんな内容の記事が出ていたのです。

“実はダービーの1カ月くらい前に柴田騎手が、

「今年は静かにダービーを迎えたいんだ。だから、ダービーが終わるまで取材は勘弁して欲しい」

と、各新聞社の担当記者達にお願いして回ったのだそうです。
普段は気さくでどんな取材にも嫌な顔一つしないで対応する柴田騎手の真剣な態度でのお願いに、記者達も

「分かりました」

と約束し、ダービー当日まで各新聞に柴田騎手のコメントが載ることはなかった。”

もし本当だとしたら、これって、なかなか出来る事ではないですよね。
新聞記者からすれば、自分がダービーの有力馬の騎手の担当なのにコメント一つ取れないとしたら、上司からどやされるのは当たり前で、敢えて、それを覚悟の上で、上司に説明したのでしょう。
それだけ担当記者も、それを許した上司も、柴田騎手にダービージョッキーになって欲しかったのだと思います。

今となっては、この記事の真偽は定かではありません。

しかし、今でも自分にとっての第60回ダービーは、ウイニングチケット・柴田政人騎手の勝利と、このサイドストーリーが、共に記憶に残っているのです。