必殺技

昨日の夜、俺は彼女との関係修復を図るために、ドトールで珈琲を買って彼女の部屋へ行った。
関係修復には笑いが一番と思った俺は、必殺技とも言えるべきネタを二つ用意していた。

21時くらいに彼女の部屋に到着した。

彼女は疲れてたと思うが笑顔で俺を中に入れてくれた。

買ってきた珈琲を飲む前に、彼女が仕事での不満や愚痴を言ってきた。

俺は内心「今がチャンス」と思い、偽装工作をしたコンビニの袋から珈琲を取り出した。

彼女はそれを見て少し嬉しそうに笑ってくれた。
買ってから30分は優に経過していた為、当然だが珈琲は人肌くらいになっている。

彼女は人肌くらいの珈琲を口にした。

彼女の眉間にたてじわが出たのを俺は見逃さなかった。

ここまでの展開は全て予想通りであった。

必殺技を出す時が来たのである。

俺「その珈琲ぬるくて旨くないだろ？俺がその不味い珈琲を旨くしてやる」
美味しくなーれ美味しくなーれ萌え萌えキュン

俺は彼女を見た。

彼女は笑うどころか無表情だった。

そして彼女が口を開いた。
「何それ？意味解んないんだけど。」

俺は彼女に笑って欲しかった事を言ったが、彼女は「馬鹿にしてんの？あたし疲れてんだけど」
彼女の怒りを含んだ攻撃は俺に大きなショックを与えた。
場が白け居たたまれなくなった俺は早々に彼女の部屋から出た。
まさに必殺技の応酬となったわけだが、
冷静になった今、俺は彼女に悪い事をしたと思う。

しかし、滑り止めに「許してニャン」というネタを用意していたのだが、使わなくて良かったって思ってる。
シツコイって思われるのも嫌だから、しばらく彼女とは距離を取ろうと思う。