俺は去年８月末の退院から、風邪等の体調の

俺は去年８月末の退院から、風邪等の体調の悪い日を除くと、ほぼ毎日昼と夜一時間くらい散歩をしてる。

今は６月すでに１０ヶ月毎日散歩をしてる。

いつの頃からか、散歩の途中で休憩する公園に猫が姿を表すようになった。

最初は遠くからワニのような目で、俺を観察しているだけだったが、次第に俺を見るとニャ〜と声をかけるようになってきた。

そうなると、とても可愛いのである。

いつしか俺は散歩の途中にあるコンビニで魚肉ソーセージを買い、猫にトラと名付けて食べさせていた。

風邪をひいたり、彼女との雰囲気が良くなかったり、ヤクルトが最下位に落ちたり、と悪い事だらけの最近の俺にとって、トラ君との一時は俺に安らぎを与えてくれる貴重な時間になっていった。

そして今日。

俺はいつものように魚肉ソーセージと水を購入し、公園に行き「トラ君」と声をかけたが、返事は無く、替わりに便所の陰から見たことのないオヤジが現れた。

その顔付きから俺に対して敵意むき出しなのは明らかだった。
オヤジの飼い猫だったのか
と、思いきやオヤジは猫による糞尿の被害と、近隣の住民が迷惑してるって事を、まるで俺の存在が許せないかのように顔を真っ赤にして怒鳴りまくった。
話しを聞いてると確かに俺が悪い。ただ黙って聞いていた。

一通り怒鳴るとオヤジは急に機嫌が良くなり、「片目が見えないのは大変だろ？」とか、「暑いのにご苦労さん」と言い出した。

そしてオヤジは自分の憐れな境遇や日頃の不満を俺に打ち明け、

ウグイスパンを俺に手渡し、公園から去って行った。

どうやらオヤジは愚痴をぶつける相手として、俺に白羽の矢を立てていたみたいだった。

それに気が付き腹が立ったが、オヤジの姿はすでに無く、トラ君の姿を表さないままだった。
何か腹が立つ今日の散歩であった。