再会　　会いたかったよ

上　現在のウォーライクトニー　「遠いところを来てくれたんだ。ありがとね」
下　現役時代(中山競馬場)　「今日も頑張るからね」


ウォーライクトニー、私の思い出の元愛馬です。5年半の間に５４戦５勝(うち障害１勝)
怪我もなく、８歳１１月まで走りぬきました。８歳で障害に転向した時には怖くて
祈るように観戦しました。でもそれが彼に与えられた仕事なのだから、目をそらさずに
すべて見てきました。
そして４年前に８歳で引退。当然「乗馬」という用途でしたが、クラブの方が行先を教えて
くれていたので、一応は安心していました。

私は、引退後の愛馬は追わないようにしています。それは、行方不明になった時に辛い
思いをするからです。繁殖にあがったはずなのに繁殖馬名簿にいなかったり、乗馬になった
はずなのに、そこに電話をしても「もう今はいません。」そういう言葉を聞いたこともあり、それが辛いので、引退した時点でひとり心の中で別れを告げていました。

でも彼に会いたい。５４戦のうち、５０戦は応援に行った馬です。彼は８つの競馬場で走り、思い出がたくさん・・・
最近になって、勇気を出して引き取り先に電話をしてみました。「ああ、いますよ。元気
ですよ。いつでもどうぞ見に来てください。」という神様のような言葉。

そしてついに４年ぶりに彼に会いに行く決意をしました。片道３時間もドキドキそわそわ
であっという間でした。そして・・・
一頭だけ、目立つパドックでたたずむ馬、トニーだ。あの顔はトニーだ。１２歳になった
彼は競走時代と全く変わりない姿で私を迎えてくれました。
生きていた・・・それだけで十分幸せでした。ニンジンを食べさせて、一緒に写真をとって
至極の幸せでした。彼に触れるのは、デビュー前の２歳の時以来、１０年ぶりです。
「トニー、いい所に引き取ってもらって本当によかったね。」彼は障害の経験を生かし、
競技にも出ているそうです。
愛馬の第二の馬生を感謝しつつ、安心し帰路につきました。

「トニー、頑張って生き続けてね。そしてホースパークの方、これからも彼をよろしく
お願いいたします。」

引退した競走馬の第二の馬生が厳しい中、このように幸せに生きられる馬が少しでも
増えますよう、祈るばかりです。

*同じところに引き取られたアーバニティは、調教中に骨折し予後不良となったそうです。
乗馬でもそのような痛ましい事故は起きるのですね。冥福を祈ります。