迷子のグー 【S.H.O.T】

猫鼬の村から山を一つ越えた所に広大な湖がある。

付近の動物から[三日月湖]と呼ばれるその湖は、彼らのライフラインであると同時に、また恐れられる場所でもあった。

湖岸の草原には野生の馬が生息しており、その対岸の林には[三日月湖の王]と恐れられる狼が棲んでいる。

お互いが日々諍い、森のそこかしこで喧嘩やトラブルが絶えない。


湖岸にて二頭の馬が、湖の水を飲みながら会話している。

ホムラノ
「ヒャクゴさん遅いな…」

オニキスローズ
「今日は新人が来る日だよね?」

ホムラノ
「うん、だから俺たち幹部に召集かかったんだけど、まだ俺たち以外きてないね」

オニキスローズ
「新人もこないし、どうなってんだろ?」

ぱらら、ぱらぱら、ぱらぱらら?♪

どこからか『ゴッドファーザー愛のテーマ』のヤンキーホーン…、を真似た奇声を発しながら、何かが近づいてくる。

サングラス馬
「どけい、どけい、邪魔だ邪魔だ、どけいどけ?い」

オニキスローズ
「…」
ホムラノ
「…古っ!」

サングラス馬
「なんだよホム、古いって」

ホム
「ヒャクゴさん、だってそれ昔のお笑いのネタでしょ!」

ヒャクゴと呼ばれたサングラスの馬は、その言葉を聞いて悲しそうな顔をした。

ヒャクゴ
「あれか?やっぱりパヒュームのチョコレートディスコのヤンキーホーンのが今風?今風か?」

ホム
「そっちの事じゃねーよ!しかも聞いたことネーヨそんなホーン!(;`皿´)」

オニキス
「ホム、まともに絡まないほうがいいって…」

ヒャクゴ
「ん?AKB?」

オニキス
「い、いや、それよりヒャクゴさん、今日新人くるんでしょ?」

オニキスが話の流れを変える。

ヒャクゴ
「ん?おお!そうだそうだ、もう来てんの新人?」

ホム
「まだきてないよ」

ヒャクゴ
「な、ちょ!カッチーンきた!その新人、俺たち『武装戦線』舐めてんじゃねぇか!」

ホム
「…俺らS.H.O.Tだろ」

ヒャクゴ
「ん?略すとそうなる?なるの?」

オニキス
「ならねぇよハゲ!(;`皿´)」

『S.H.O.T』
Stray Horse of TOMEJI
野良馬トメジ

偉大なるG1馬トメジが創設した野良馬集団。

ヒャクゴは現在、それの二代目総長である。
因みに、ヒャクゴが総長に選ばれた理由は…

トメジ
「お?お前サングラスいいじゃねぇか!ビール飲め!な?おっ、いけるねぇ!ハイ、お前次期総長!ハイ、決まり!うへへへ!」

…である。


ヒャクゴ
「しかし新人遅ぇな、今日は豪華ゲスト連れてきてんのによ」

ヒャクゴの背後から一頭の巨大な動物が姿を現す。

ホム、オニキス
「…! あ、あんたは!?」

巨大な狼
「どうも、三日月湖の王こと?、ブリザードでぇすっこんばんわ!ブリって呼んでねぇ!^^」

ブリザードは照れくさそうに自己紹介を始めた。

ホム
「ちょ!敵!敵の親玉!(°□°;)」

オニキス
「何呼んでんだよアンタ!(°□°;)」

ヒャクゴ
「いやそこでばったり合っちまってよお」

ブリザード
「ねー^^」

ホム
「ねー^^、じゃねぇよ!(°□°;)」


因みに、このヒャクゴとブリザードは基本仲良しで、喧嘩友達である。

ドドドドド…

新人
「ち、ち、遅刻じゃ?!」

四匹が何だかんだとやっている内に、息を切らし、大汗をかきながら新人がやってきた。

新人
「ぜっ、ぜぇ…、す、す、すいません!皆さん、お待たせしました!ち、ちょっとトラブルがありまして(>_<)」

ヒャクゴ
「貴様…(;`皿´)」

新人
「ひぃっ!(°□°;)」

ヒャクゴ
「何者だっ!((;゜д゜)ガクガクブルブル」

一同
「えーっ!(゜∀゜;ノ)ノ」


ホム
「オニキス…、もう俺ここ引退しようかと思うんだけど…」

オニキス
「奇遇だね!(b^ー°)グッ!」



つづく