43件のひとこと日記があります。
2010/11/06 09:58
迷子のグー【夜の森:後編】
いつの間にかお互いの恐怖心も薄れ、グーとマグは知らず知らずのうちに近い距離で話していました。
マグ
「で、お前は何て名前だ?」
グースカ
「わたし?わたしはサラブレッドのマングースカ」
マグ
「は?」
グースカ
「えっ」
マグ
「そうだけど、お前の名前はって聞いてんだよ!」
グースカ
「え…だから、マングースカって…(>_<)」
マグ
「しつけぇな!そうだよマングースだよ!何回聞くんだよ!」
グースカ
「えぅ…(>_<)」
話しがかみ合いません。
マグ
「もういいや。サラブレッドって…あれか?あの…」
ウス
「新品(まっさら)のパン(ブレッド)だぁ!」
マグ・グー
「…」
ウスは一人で何かを想像して、口をもぐもぐしています。
マグ
「まぁ…、何でもいいや」
グースカ
「…みんなはグースカって呼んでる」
マグ
「…ふん!とりあえずグースカ!お前は俺たちの縄張りに何しに来た?」
グースカ
「あの…、ま、迷子になっちゃったの(;_;)」
マグ
「キャキャキャ!だっせぇ!」
グースカ
「ぅう…(>_<)」
ひとしきりグーを馬鹿にすると、マグは何かを思いついたようにニヤリと笑いました。
マグ
「…まぁ、夜も遅ぇし、とりあえずウチに来るか?( ̄∀ ̄;)」
グースカ
「えっいいのっ?(≧∇≦)」
マグ
(上手いこと飼い慣らして、こいつに乗れば遠出も余裕になるな( ̄∀ ̄))
ウスがお腹を鳴らし、人差し指を口にくわえながら二人を見ています。
ウス
「ハラも減ったし、帰ろう?」
マグ
「よし、決まり!」
マグはグーの背中にぴょんと飛び乗ると、背中を向けたままウスを手招きします。
ウス
「の、乗るんか…」
渋々ながら、ウスもグーの背中によじ登ります。
グースカ
「かっるいなあ!で、どっちの方向?」
マグ
「はん!男の価値は重さじゃねぇよ!ハートの熱さだよ!(`ヘ´)」
グースカ
「ふ?ん( ̄∀ ̄)」
ウス
「その林の抜け道をまっしぐだぉ」
マグ
「ゆっくりでいいからな!二人も乗せてんだから!な!フリじゃねぇぞ!わかってんだ…ろぅなぁあああ?!(°□°;)」
びゅんっ!
パカパカパカ!
グーはマグの話しも聞かずに飛び出しました。
マグ
「ちょっ!こうぇえええ?!(°□°;)」
ウス
「あばばばばば…(゜∀゜;)」
どんどん加速しながら、グーは笑っていました。
寂しさから解放された喜びと、誰かを乗せて走る事の嬉しさに。
グースカ
「キャハハ?!人間乗せて走るより全然っ楽ぅ?(≧∇≦)」
林を抜け、開けた草原をおかしな組み合わせの三匹の動物が駆け抜けます。
マグ
(…人間を乗せる?…こいつ、俺たちの敵、人間の仲間なのか?…)
つづく