北九州記念　予想

　ここまで難しいレースはいつ以来だろう。久しぶりに私の練りに練り込まれた脳みそをフル回転させた気分だ。正直フルゲートでどの馬にもチャンスがありそうな混戦。どこから手をつけていいのかが全く分からなかった。
　そこである手法に目をつけた。物語には必ず主役というものが存在する。主役が主役であるからこそ脇役と言われる存在が光り出す。これを競馬で応用しようということだ。
　今回の主役はビッグアーサーで間違いない。５戦５勝無敗という話題性たっぷりのこの馬はまさにこの北九州記念という物語の主役にふさわしい。ではビッグアーサーがイコール勝ち馬なのか。確かに勝つ可能性は高いがそのまま勝ち馬というにはまだ早計。主役が脇役に足元をすくわれるなんてことも物語ではしばしば。すなわちそういうことだ。
　５戦５勝無敗。これはまず簡単にできることではない。競馬というのは常に相手も違えばコースも違う。さらに馬場や展開等を考えれば１８０度違うレースになるなんてこともしばしば。それを全て克服し優勝しているのだから、競争能力の優位性、噛み砕くと”強さ”があるのには間違いない。しかし、だからこそ他馬からのマークは計り知れない。フルゲートと考えればなおさらで、ロスなく行くはずがない。必ず外外を回されたり、勝負所で仕掛けられないという事象が発生する。
　これを見るにこの物語の結末は主役が最初から終盤まで大活躍するが、最後の最後に脇役に足元をすくわれるというひねりを加えた物語であると考える。ということで○ビッグアーサーという評価にさせていただく。

　さて、ではそんな物語の主役を食うラッキーマンは誰なのか。◎マイネルエテルネル、君である。なぜ彼なのか。答えは簡単。それは主役の存在である。主役、ビッグアーサーは主役らしく格好良く大外一気で決めるはず。そうなればビッグアーサーより後ろの馬にチャンスはない。あるとするならば、主役の油断ゆえに起きる、仕掛けの遅れから生じる先行馬の強力な粘り腰。そんな先行馬の中で主役食いが出来る力を持つ馬がマイネルエテルネルしかいないと判断したのだ。
　先ほども言った通り競馬というものはロスや不利がつきもの。特に馬群がバラけずらいフルゲートのスプリント戦なら不利やロスがない馬の方が珍しいくらいだ。だとしたら内枠を引き先行できる、つまりロスと不利が一番無い条件にいるこの馬を狙うのは自然な流れだ。
　問題なのは北九州記念は特性がゆえにハイペースになり差しが決まりやすいこと。だからこそだ、だからこそ先行馬なのだ。当然そんな傾向は騎手や調教師の頭には入っている。そうなれば出来れば前に行きたくない。意外にも道中が緩む。内枠を引きこの特性を知っている柴田騎手なら間違いなく前に行く。マイネルエテルネルがアイビスＳＤ２着のシンボリディスコを相手にしないネロを封じた持ち前の先行力で主役の猛追を振り切る。そんな物語の筋書きが私には読めた。

　この馬の大外一気に夢を見たい気もする。▲オーミアリス。それほどまでに小倉２歳Ｓの大外一気は強烈過ぎた。やはりあの脚は小倉１２００ｍでしかお目にかかれないのははっきりしている。ここ近走は適性と大きくずれていたので無問題。放牧して急成長、５０ｋｇという超軽量で再びの大外一気の用意は完了。

　△バーバラは前走のレースレベルに疑問を持つが、それでも前走の競馬はバーバラらしからぬ強力な競馬だった。ブリンカー効果で一回り強くなったのなら十分に馬券圏内は狙える。

　８歳、長期休養明けとは言え△マヤノリュウジンは印に入れたいところ。去年のとんでもない末脚で中堅どころを一蹴してきた力はここでは明らかに上。時計がかかる馬場というのもグッド。

　△メイショウイザヨイは去年の２着馬。明らかにここに照準を合わせてきたローテに好感が持てるし、前走も超ハイペースの中、爆勝ちしてティーハーフに１秒差でまとめたのは高評価。小倉に強い太宰騎手というのも面白い。

　△サドンストームは当初は消そうとした馬だが、ここまで人気無いとさすがに気になってくる。おそらく、２年前のＣＢＣ賞３番人気３着から北九州記念１番人気１０着という忌まわしき記憶が残り、人気がないだろうから、それだけなら逆に狙うという作戦もある。

　明日は私の物語が動き出す。乞うご期待。

◎２マイネルエテルネル
○５ビッグアーサー
▲１８オーミアリス
△１１バーバラ
△１５マヤノリュウジン
△１４メイショウイザヨイ
△１サドンストーム