マーメイドＳ　予想

　この２０１５年のマーメイドＳ。並々ならぬ執念を燃やしている馬主がいる。
　キャロットＦだ。なんと驚愕の3頭出し。それも全てが有力馬。一体、何が彼らをそこまで突き動かしているか。
　私が考えた理由は二つ。一つは王者としての意地。去年勝ったのは記憶に新しいディアデラマドレ。このディアデラマドレの馬主と言えば何を隠そうキャロットＦ。当然、キャロットＦにとってみれば連覇という文字はちらつく。連覇を果たしすために、王者としてそう簡単に優勝を渡さないために、盤石な布陣を敷いてきたわけだ。
　もう一つは、将来の為。このマーメイドＳの優勝馬には名繁殖牝馬の名が連なる。今なお最強牝馬論争の第一線で、繁殖牝馬としても超一流であるエアグル−ヴや、その子どもで二冠馬ドゥラメンテを出したアドマイヤグル―ヴ。そして、いかにも名繁殖牝馬になりそうなそのエアグル−ヴの子であるグルヴェイクや、グランデッツァの下にあたるマルセリ−ナ。当然、去年優勝したディアデラマドレも含まれる。そういった、今後の繁殖牝馬の勝ちを高めるためにも是が非でも勝ちたいレース。それは、他の馬主でも言えることではあるが、有力馬を3頭出してきたキャロットＦは特にその想いが強いようだ。

　では、ここからが本題。キャロットＦは一体どの馬を勝たせたいのか。当然のことながら、3頭一緒にゴールインと言うわけにはいくまい。当然、キャロットＦが特に勝たせたいという”本命馬”が存在するはずだ。もしかしたら、その1頭を勝たせるために他の2頭は囮かもしれない。
　まず、3頭中どころが出走馬全頭中、一番の実績馬であるバウンスシャッセ。重賞を2勝、さらにオークスで3着という超のつくほど実績をもっていて、もう華のある繁殖生活は確約されたようなもの。それに、ある程度のハンデが想像つく中で、わざわざこの重いハンデを背負わされたタイミングで、重賞3勝目を狙いにいくとは思えない。
　現時点で一番人気であるマリアライトはどうか。いかにも、この馬っぽいがそれも本命馬に見せかけた囮。この馬は典型的な内弁慶で、今の一度も関西圏に輸送したことが無い。しかも、2連勝した距離はいずれも２５００ｍや２４００ｍといった長い距離。わざわざ一度も使ったことの無い関西圏で、しかも追走できる保証もない２０００ｍで４００ｍをも距離を落とす。本気で勝ちにいくローテとはとてもではないが考えづらい。おそらく数合わせと重賞の慣れを兼ねたレースであり、目標はオールカマーから軽ハンデをもらえるアルゼンチン共和国杯ということになるはずだ。
　
　ではキャロットＦの本命馬はなんなのか。そう◎リラヴァティだ。素質馬で重賞まで後一歩届かないこの馬に念願の重賞のタイトルをあげたいところだ。まず、本気度が違う。この馬は福島牝馬Ｓ２着だったにも関わらずＧ１のヴィクトリアマイルに目もくれず、早々にマーメイドＳの参戦を表明した。繁殖牝馬としての価値は勿論のこと、競走馬人生の将来的な意味でも賞金を加算させて選択肢を広げたいところ。
　ホームである関西圏で競馬ができる。もう、これだけでこのレースは貰ったようなもの。実は、このレース有力馬に関東馬が揃っている。先ほどのキャロット２騎、マリアライトやバウンスシャッセ、オークス４着から参戦を表明したアースライズに至るまで、有力馬のほとんどが関東馬。前走はアウェイで2着までやれたのだ。ホームの今回なら当然1着。
　もう一つ、キャロットＦの本気度とは関係ないが、どうしても挙げたい点が。先週の安田記念の反省を活かす。先週はあまりにもペース予想にこだわり過ぎて、スローと読んだ私はハイペースとなりその時点で終戦。ペース予想もいいが、やはり競馬は生もの。完全にペースを読み取ることはできまい。だとしたら、スローペースでもハイペースでも両方にある程度対応できる馬が本命にふさわしい。となれば12.6 - 24.3 - 37.3 - 50.3 - 63.3 - 76.4 - 88.9 - 100.9 - 112.3 - 124.2 (37.3-35.3)のドスローだった前々走の四国新聞杯で極上の瞬発力で他馬を寄せ付けなかったと思えば、12.3 - 23.1 - 34.6 - 46.8 - 58.8 - 70.6 - 82.3 - 94.0 - 106.0 (34.6-35.4)の持久戦を先行して2着にしのぎ切った福島牝馬Ｓのようなレースもできる。レッドアリオンのような極端なペース対応しかできない馬とは正反対で、柔軟に全てのレースに対応できるまさにネギのような馬なのがこのリラヴァティなのだ。