福島牝馬Ｓ　予想　◎フィロパトール

　スペシャリスト。いい響きだ。その言葉はスポーツでよく使われる。短距離のスペシャリスト、長距離のスペシャリストと言った具合だ。短距離の中でも、１００ｍのスペシャリスト、２００ｍのスペシャリストなんてのもある。実は、馬の間でもその言葉は多いに使われる。馬はコースによって使われることが多く、例えばダービーはじめめ東京コースで印象的な競馬をした東京のスペシャリスト、ウオッカ。有馬記念をはじめ中山コースの重賞を制圧しまくった中山のスペシャリスト、マツリダゴッホ。史上発の宝塚記念連覇を果たし、阪神コースにおいては圧倒的なパフォーマンスを見せる阪神のスペシャリスト、ゴールドシップといった感じだ。

　この、福島牝馬Ｓにもあるスペシャリストが出走する。福島のスペシャリスト◎フィロパトールだ。残念ながら、前述のスペシャリストに比べると圧倒的に知名度が少ない。あまり強いとは言えないから仕方がない。いや、今の言葉には語弊があった。福島コース以外ではあまり強くないが正解だ。すまなかった。しかしながら、福島コースと他のコースとの落差となれば、前述の名馬ともまったく引けをとらない。この馬の戦績を見れば明らかで、この馬がこれまで勝ち星を挙げた５つのレースのうち、３つのレースが福島という、正真正銘のスペシャリストだ。これだけではなく、この馬の障害成績を見ればさらに如実なデータが姿を現す。この馬の現時点での生涯成績は［５．３．２．１９］とぱっとしない成績だが、福島だけに絞ると［３．１．２．２］と素晴らしい成績だ。ここまで挙げれば、フィロパトール福島スペシャリスト説は立証されたはずだ。レースを見ればこれが偶然ではないことが分かる。この馬には二つの武器がある。一つ目は軽々前を取れる卓越した先行力、針の穴を通すような器用なコーナーワーク。小回りの福島コースにはいずれも不可欠な要素だ。いや、むしろこの二つの要素があれば、他の要素がいらないくらいだ。私から言わせれば、フィロパトールと福島競馬場は一体化しているようだ。
　とまあ、これくらいだったら誰でも考えられることだろう。こんな平凡なことを言ったところで、このブログを見て良かったなんて言う人は相当な変わり者だろう。読者を納得させるには、さらに踏み込んだ予想が必要。さっきまでの文章はただの導入。勿論、重要ではあるのだが、ここからが本題といこう。この馬の最も私が評価するレースは、この馬が得意とする福島で行われた福島記念。このレースはローカル重賞にしてはなかなかの顔触れであり、ラップを見ても前半、後半の３Ｆともに３５秒を切るハイレベルなレースだった。この厳しいペースで先行して４着に残ったこの馬は高い評価を与えるべきだ。むしろ、前半で３５秒台を切る厳しいペースだったからこそ４着に粘れたかもしれない。というのも、去年のこのレースでこの馬は３着。当然、当時シンガリ人気だったことを考えれば大健闘と言っていいのだが、最後にたれてしまったのは物足りない内容で、スローペースからの瞬発力勝負では分が悪いのだろう。だからこそ、前半３Ｆ３５秒を切る逃げを発動するペイシャフェリスの存在は大きい。私は当初、速い逃げ馬の存在がこの馬にとっては厳しいのではないかと思ったが、逆だった。むしろ、有利に働くのである。
　
　対抗には○スイートサルサ。この馬は完全なマイラーという認識だ。３歳時に２０００ｍの秋華賞に見向きもせずに、１８００ｍの府中牝馬Ｓに出走。これが私の脳裏に色濃く根付いた。だからこそ、この馬の前走の愛知杯は驚いた。この馬にとって厳しいはずの２０００ｍでマイル戦と同じような鬼脚を繰り出したのだ。これは、距離適性がシフトしたのではなく、単純に能力が上がったと見ている。１８００ｍの今回はさらに力を出しやすいはずだ。

　とは言うものの内側が荒れていた愛知杯で、大外を回したスイートサルサにとってしてみれば恵まれたのは事実で、内から５着に突っ込んできた▲パワースポットの方が強い競馬をしたという論も十分に考えられる。その論を立証するかのように京都牝馬Ｓ、中山牝馬Ｓで人気薄ながら連続馬券内に絡んできた。ただ、この手の馬は人気した瞬間にダメになるケースが多いので単穴評価とさせていただいた。

　以下、先行力があり小回り巧者の△マイネグレヴィル、叩き２戦目で一変しそうな△オメガハートロック、クラシックで闘いぬいた経験が生きそうな△リラヴァティまで印を回す。
　
　これにて、基本に立ち返りながら、細やかな分析をする、まさに予想のスペシャリストである私の予想は終了とさせていただく。

◎４フィロパトール
○６スイートサルサ
▲１６パワースポット
△１４マイネグレヴィル
△７オメガハートロック
△１１リラヴァティ