理由なき反抗

そもそも草食獣は、気性が荒くなくては生き残れない生き物なんですな。特に牡は、そうでないと牝にモテません。ウシにしても、スペインや日本の闘牛の姿が本来のもので、ゾウ、サイ、カバもキリンもウサギでさえも野生では文字通り｢ワイルドだろ〜？｣状態なんですな。
稀代の気性悪と言われたステイゴールドさん、実はやはり由緒正しき猛獣と言えるんやないでしょうか。

｢いや〜父上様、先日の土日は若駒からベテランまで産駒のご活躍、お見事でした｣
｢祝辞は有難いけどジャーニー、おまえ、そんなキャラちゃうやろ。熱あんのか｣
｢いえ、最近あらためて父上の偉大さを思いしるに至り、敬意をもって接しなければと｣
｢なんや気持ち悪いなぁ｣
｢父上の名声が世界に轟く日のために、自分たちの産駒からも、自分を凌駕するような産駒の誕生を願ってやみません｣
｢フェスタまでその路線か？頭痛いわ｣
｢自分も我が弟オルフェーヴルに迫れるような産駒を送り出したく存じております｣
｢オルフェと言えば、あいつ反抗期終わったんかな？｣
｢は？｣
｢こないだの宝塚記念のレースぶり、反抗期のまんま四冠とってもたあいつとは違ってた感じすんねんな｣
｢えええ〜!?それじゃあいつはそれまでずっと反抗期だったと!?｣
｢なに大袈裟に驚いてんねん。ジャーニーは周期的に反抗期きとったし、フェスタは凱旋門の後に最大の反抗期になってもたし｣
｢ううう〜、反抗期だったのか〜？｣
｢ま、俺なんか競争馬時代はずっと反抗期やったけどな｣
｢うわ〜、父上、胸張ることですか〜？｣
｢当たり前やろ、それが俺の存在意義やったんや｣
｢では父上、オルフェの反抗期が終わったとしたら、まずいのでは？｣
｢まぁ心配ないやろ、ジャーニーの弟やし、すぐまた反抗期きよるで｡てゆうか、単にええ子のフリしてるだけかもしらんしな｣
｢どこまで規格外のやつなんだか……。
ところで父上、このあとどんなオチをご用意なさっておられるのですか？｣
｢そんなもんあるかい！なに期待してんねん!?いつもオチがある思われたら迷惑や！噛んだろか!?蹴ったろか!?｣
｢あたたた！父上がキレた！そこまでいきますか〜？｣
｢そらそや、蛮行も持ち味です｣