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2014/10/28 21:15

ゴール前

生死をさまよった2歳夏、奇跡的な菊花賞制覇

デビュー当初から、酒井学は「走る馬」と潜在能力を感じ取っていたという
厩舎を開業して、今年がちょうど20年目。節目の年に初のGIタイトルを手にした谷調教師は、何度も“信じられない”といった言葉を口にした。
「まだ夢のような感じです。トーホウジャッカルが菊花賞に出られるだけで最高と思っていたので、もう嬉しいを通り越して何が何だか分からないですね」
トレーナーのこの喜びは、初のGI勝利が伝統あるクラシックだったから、ということももちろんなのだが、それ以上にトーホウジャッカル自身の奇跡的な頑張りが何より大きい。それというのも、トーホウジャッカルがデビューしたのは、ワンアンドオンリーが勝ったダービー前日の5月31日だったのだ。

「2歳の夏に腸炎になり、一時は競走馬になれるかどうかというぐらい大変な状態でした。クラシック登録もしませんでしたし、当然、菊花賞なんて考えられる状況ではなかったです」

生死をさまようほどの病気を患った昨年の夏。そこから驚異的な回復を見せ、今年3月に入厩し、5月31日の京都未勝利戦でようやくデビューにこぎつけた。翌日には世代トップホースたちが競馬界最高の栄誉をかけた戦いを繰り広げた中、トーホウジャッカルのデビュー戦は18頭立て10着。このとき、誰がその5カ月後に菊花賞を勝つなんて想像できただろうか?
その中にあって、手綱を取った騎手の胸にはある“確信”が宿っていたという。
「やっぱり走る馬だなと思いましたね。着順は目立ったものではなかったんですが、感じるものは大きかった」
うまく言葉で説明するのはなかなか難しそうだったが、ジョッキーだからこそ感じ取れる“走る馬”の感触・感覚であることを語った酒井。レース後すぐに、調教師に「もう1回乗せてほしい」と頼み込むくらい、トーホウジャッカルの潜在能力にほれ込んでしまった。
「(3戦目の)未勝利、500万下と連勝したとき、先々は重賞でも勝負できる馬だと思いました。菊花賞を勝てるかもと意識したのは神戸新聞杯の後ですね」

ただ、酒井のこれだけ大きな期待感があったとは言っても、デビューから149日での菊花賞制覇は、やはり破格である。なにせこれは、2歳戦がスタートして以降で最速のV。2歳戦がスタートしたのは1946年からであるから、翌1947年以降、68年間でデビュー最速の菊花賞Vなのだ。
「この短い期間でここまで成長して、菊花賞を勝つくらいの器の馬。今後もっともっと楽しみが出てきますね。正直、まだ底が見えたわけではないので、どこまで成長するのかなと期待しています。僕自身、馬の底知れぬ能力にワクワクしていますよ」

谷調教師も想いは同じだ。
「去年の夏を考えると、素晴らしい生命力、芯の強さがあると思います。末恐ろしいなと思いますし、ものすごい力を感じますよね」

デビューからここまで休みなく走ってきたため、今後のことは少し楽をさせたあとに考えたいと、次走に関しては現時点では未定。ジャパンカップ、有馬記念に駒を進めるのか、来年に備えて休養に入るかは、これからの発表を待ちたい。しかしながら、決定的に言えることが1つある。それは、今後の王道路線にとんでもない可能性を秘めたスターホース候補が誕生したということだ。

(スポーツナビより、原文ママ)

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