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2012/09/29 19:42
Memories of Buena Vista (4 )
天皇賞、ブエナビスタは4着。
不利があったとはいえ国内のレースで初めて馬券圏外へ、そして最後の勝利からは既に一年もの時が流れていた。5歳秋…
「ブエナはもう終わった。」
そんな声がささやかれ始めていた…
2011年 ジャパンカップ
凱旋門賞 1 . 2着馬 デインドリーム(独)とシャレータ(仏)
ドバイWC制覇 ヴィクトワールピサ
前年 JC 制覇 ローズキングダム
天皇賞レコード制覇
トーセンジョーダン等、国内外から実に10頭ものG1馬が集結。近年にもまして外国馬のレベルが高くまさしく世界一決定戦といった様相を呈し戦いの幕は切って落とされた。
デビュー以来19戦、一度たりとも1番人気を譲ることのなかったブエナの単勝人気は3倍を超え、最終的に凱旋門賞馬に1番人気を譲ることとなる。
ブエナを信じる気持ちと一つの時代の終息を敏感に感じとるファンの心の揺れが、そのままオッズとなって現れたのかも知れない。どんなに後ろ向きの報道がなされようが、ブエナに対するボクの信頼が揺らぐことはなかった。
今回もブエナに一番人気で堂々と外敵を迎え撃って欲しいと願い何度となく単勝馬券を買い足した。
ただ心のどこかで万一惨敗した場合このレースが最後のレースになってしまうのではないか?もう有馬には出ないのでは?そんな不安にさいなまれていたのも事実だった。
レースはミッションアプルーヴドが逃げ、外枠からトーセンジョーダンがかなり強引に前へ行く。ブエナは中段の内、デインドリームは後方で脚をためる形
3コーナーを迎える頃、ウインバリアシオンが一気に前へ進み勝負に出る、ピサもこれに続こうとするが行き脚がつかず後方のまま
ブエナはまだ内、天皇賞と同じ形に悪夢が脳裏をよぎる。デインドリームは外へ、ただ、バリアシオンに蓋をされる形で仕掛けが遅れる。
直線に入り一瞬、前が開く。すかさず岩田が抜け出しを図る。ブエナは渾身の力を振り絞り、後続との差を広げようとする。しかし驚異的な粘りを見せるトーセンジョーダンも離れない。
ゴールまで残り100m。岩田の激しいアクションに応え必死に逃げ切りを図るブエナ
頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!何度も何度も叫んだ。
足を踏み鳴らしながら声をあげるファンの叫びに府中の森が揺れる。長い長い直線、今まで以上にゴールまでが遠く、時間がかかったように感じた。
ゴォォォォール、一年振りの勝利!
知らず知らずに流れ落ちる涙を拭うこともなくただブエナの勝利に酔った…競馬を見て泣くなんて自分でも信じられなかった。今まで感じたことのない感情が沸き起こっていた。
デインドリームはブエナに次ぐ鬼脚で追い上げを図るも6着と破れた。ただ凱旋門賞を制し返す刀でJC制覇に挑んだ小柄な3歳牝馬の強さは強烈な印象を残した。
現役最強馬の称号を自ら取り戻したブエナ。有馬記念で有終の美を飾ってくれる…そう思い込もうとする自分と、決して全盛期の動きではなかったブエナを見てこれ以上望むのは酷だと思う自分との間で心が揺らいだ。最後の一戦
たとえどんな結果になってもいい、どうか無事で、
そして忘れ得ぬあの日はやって来る…
(写真上、ゴール後ブエナに駆け寄るスミヨン、デムーロも笑顔 写真下、感極まる岩田騎手と山口厩務員)