札幌記念 世界への分岐点

第45回 札幌記念

若くしてその才能を開花させたブエナビスタにとってこのレースは勝って凱旋門賞への挑戦を高々と謳いあげる為だけのレースの筈だった

洋芝適性や短い最後の直線、追い込み脚質のブエナが取りこぼす可能性を論じる者も居たが斤量52kgはあまりにも有利な材料、全てが杞憂に思えた

しかしレースを制したのはブエナビスタではなくG1馬マツリダゴッホでもなく7番人気のヤマニンキングリー
直前の重賞を3戦続けて連対、更には洋芝適性の高いアグネスデジタル産駒、終わってみればなんら不思議のない結末ではあったが57kgを背負ったG1未勝利馬に勝てなかった事実が何とも言えない競馬場の雰囲気を醸し出すと共にブエナビスタの今後の路線をも惑わせる

凱旋門賞への挑戦は白紙

ボク自身、3歳牝馬の海外遠征にはあまり積極的な気持ちではなかった
特にブエナは小柄で華奢、負担が大きすぎるとも思えたからだ
その反面、未だ日本馬が制することが出来ない凱旋門賞をあのディープインパクトですら勝てなかったレースを初めて制するのがブエナだったら、そんな夢を抱いていたのも事実だった(レース後、蟻洞を発症していたことも分かり結果的に3歳での海外挑戦は無かったのだが)

秋は国内に専念、秋華賞、エリ女杯、有馬記念へと歩を進めるがひとつとして勝つことが出来なかった。一度崩れた流れが容易には元に戻らないことを痛感する大きな分岐点となってしまった

8月号のうまレターにこの札幌記念についてのコラムが掲載されており最後にこう書かれていた
『ブエナビスタはヤマニンキングリーに負けたのではなく、自分自身に敗れたのではなかろうかと』
日本競馬界の大きすぎる期待に、周囲の雰囲気に、自分自身に

ボクはそうは思わない
ブエナが自分自身に敗れることなど絶対にあり得ない
敗れた理由を挙げるとすれば人気薄で一発を狙った柴山騎手のファインプレーであり、ヤマニンキングリー自身の頑張りであり、いつも通りの位置で絶対に勝てると過信した鞍上にあると思う
或いは陣営自体も海外挑戦に迷いを持ちつつこのレースに臨んでしまったのではないだろうか
その時の迷いが後悔となりハープスターの海外挑戦に執念を燃やす結果となったのかも知れない

今年、父がブエナが果たせなかった夢を追う一頭の馬が札幌記念に向かう
今年の結果がそのまま海外に繋がる訳ではなくハープvsシップのような盛り上がりはない、ただ現役最強の名を得るための第一歩、そして世界への夢を大きく開く第一歩なのだ

トーホウジャッカル
金色の馬体がいつの日か世界で弾ける姿を夢見ながら、23日を待つ

結果は8着。何か噛み合わない走りで残念な結果に終わったがまだ4歳。これからこれから！

写真上、うまレターより
写真下、SKｰ�桐佑茲蠅環鷆�