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2014/11/30 15:00
ジャパンカップ
紡いできた信頼の絆、共に戦い得た尊さ。これらを熟成させるには相当な時間、時には想像以上の労力を費やすことになる。しかし壊すのはたやすいことだ。一瞬で完結してしまう縁もある。人間関係の根幹を成す重要なことである。その対象がたとえ馬でも同じではないだろうか。
フェノーメノは必勝を期したはずの天皇賞(秋)で完膚なきまでに散った。惨敗と呼ぶになんら抵抗のない生涯初の二桁着順に声を失った。休み明けで単勝4.9倍(3番人気)での必勝宣言は客観的に見ればただの強がりだったかもしれないが願った夢は決して間違っていたとは思わない。
「敗因がわからない」陣営が揃って首を捻るのも無理はない。レースの2か月も前に帰厩し、入念に調教を重ね、時計も出ていたし、直前の動きも走る気に満ちていた。状態が悪かったはずはない。レース自体もプラン通りには進まなかったが、手も足も出なかった状況は不自然だ。
レース後はすぐに息が入ったとの証言からもまったく走っていないのは事実。優等生フェノーメノとて気分にムラがあるということだろう。敗因は走る気の欠如。そう結論付けるより他ないのだ。終わったことは仕方がない。むしろ突如として崩れたフェノーメノに対して一層の親近感すら覚えた。
天皇賞(春)2勝、ダービー2着、天皇賞(秋)2着の力を今一度信じたい。たった一戦の裏切りで評価を落とせるような柔な絆ではない。先日、たまたま引いたおみくじ。二度引いたがいずれも吉。同行者も凶が二回。そうあることではない。滅多とないフェノーメノの大惨敗とも重なり、吉兆の予感さえある。
主戦だった蛯名正義からスイッチの予定だったC.ルメールが直前で落馬負傷。ドタバタ劇は余計だったが奇しくも鞍上は3歳春の混乱を生んだ岩田康誠。弥生賞の悲劇を忘れたとは言わせない。それはかくいう岩田本人が感じているはずだ。久々のタッグで渾身のタクトを期待したい。府中に産み落とされた怪物なら、復活もまた府中だ。
相手筆頭はハープスター。凱旋門賞の6着は勝負という意味では圏外だったが、大外から力強く迫った脚力に並みの牝馬ではないという凄みを感じさせた。海外帰りで状態が心配されるところだがジャスタウェイほど気にする必要はないとみた。本質はウオッカのような長めマイラーだと思っているがこの条件なら好戦確実。
デニムアンドルビーの天皇賞(秋)は直線で詰まるシーンがあっての6着で、まともなら首位争いも演じられた内容。東京は昨年の2着やオークス3着を振り返っても走ることが分かっているし、決め手比べの展開なら一発がある。エピファネイアも休み明けのぶん天皇賞(秋)は力んだがガス抜き完了の今回は万端整った。ダービー2着のコースだけに適性は高いし、ハマれば怖い。