神戸新聞杯

ダービー２?５着馬が顔を揃えたセントライト記念は雪辱を期す皐月賞馬イスラボニータが優勝し、２着トゥザワールド、３着タガノグランパが順当に入線するなど地力上位を示す結果。そして菊花賞へ向けた最重要トライアルの神戸新聞杯には満を持して第８１代日本ダービー馬ワンアンドオンリーが登場する。

皐月賞の後方待機から一転し、ダービーでは内枠を最大限に利用する形での先団追走から残り200mをイスラボニータとびっしり叩き合った末に掴んだ栄冠。極めて王道に近い戦法で本来なら信用に値する内容だが突発的な脚質変更だったことは否めないし戦績を振り返ってもダービー勝利＝世代の一番と決めつけるのは早い。

ノーリーズンやグレイトジャーニーの近親でHalo[３×４]、Danzig×Mr. Prospectorと連なる母系からしてダービー＜皐月賞向きと評価してきてこの結果だから立つ瀬もないが基本的に考えは変わっていない。内枠先行有利の馬場をHalo的な機動力で最高に立ち回れたのが勝因で本質は同じHaloクロスのダービー馬ロジユニヴァースと一緒だと思っている。

過去１０年で神戸新聞杯を秋初戦に選択したダービー馬は６頭いて04年キングカメハメハ(１着)05年ディープインパクト(１着)06年メイショウサムソン(２着)08年ディープスカイ(１着)10年エイシンフラッシュ(２着)11年オルフェーヴル(１着)だからほぼ隙なしだがこれらと並び称されるほど“唯一無二の存在ではない。

逆襲の秋へ。ハギノハイブリッドに敢然と◎だ。ダービーは無念の１３着に終わったが直線でバラけても伸びる気配すらなかったのは押せ押せのローテーションで明らかに本調子を欠いた影響だし、加えて展開や馬場傾向などの付随条件も味方しなかった。ダービーに関してはワンアンドオンリーなどの上位勢とは対極的だった。

前半5Ｆ57秒7の激流だったとはいえ直線で豪快に差し切った京都新聞杯からしても能力はヒケをとらない。イスラボニータやトゥザワールドなどレースセンスの高い総合力勝負の馬が世代の中心を形成する中にあって、むしろハギノハイブリッドの決め手はトップクラス。ワンアンドオンリーがダービーを踏襲して牙を抜くならなお都合がいい。

神戸新聞杯が2400mで施行されるようになった07年以降、07年３着ヴィクトリー、08年２着ブラックシェル、３着オウケンブルースリ、09年１着イコピコ、11年２着ウインバリアシオン、12年２着ロードアクレイム、１３年２着マジェスティハーツ、３着サトノノブレスと10年を除く過去６年で三代前までにトニービンの血を持つ馬が３着圏内に入っている。

ハギノハイブリッドは母父がトニービン。父タニノギムレット(その父ブライアンズタイム)母母父サンデーサイレンスと９０年代の御三家が根付いたまさにハイブリッド配合が息の長い末脚と勝負強さを支えている。１か月前に帰厩して９本の追い切りを消化し、休み明けから力を出せるデキにある。自慢の快脚でライバルたちを捩じ伏せる。

一応の本線はハーツクライ産駒のダービー馬だが穴で一考したいのが▲トーホウジャッカル。半姉トーホウアマポーラは短距離馬だが父がスペシャルウィークのこちらはゆったりとした距離が良い。デビューはダービー前日と遅れたが近３走は(１)(１)(２)着と急激な成長。直前の坂路で自己ベストタイの51秒5を叩き出しているし一発十分だ。

シャンパーニュは２走前に阿寒湖特別を勝ちながらTVh賞の惨敗で人気の盲点。春に同舞台でサトノアラジンを破った比較からすれば通用するし、血統的に秋の飛躍が怖い一頭。以下サウンズオブアース、ヴォルシェーブの長距離が合うネオユニヴァースが抑え。サトノアラジンは2400mだと折り合いが難しいし、トーセンスターダムは平坦の方が斬れる。