コスモス賞・フェニックス賞

ダイワメジャーは「ナスキロ＋Tom Fool」的な血脈を持つ牝系と好相性を示していて、重賞勝ちのある７頭を見てもDrone(Sir Gayload＋Tom Fool)→カレンブラックヒル、トーセンベニザクラ。Storm Cat(母TerlinguaがSecretariat＋First Rose)→カレンブラックヒル。Sir Ivor(Sir Gaylord＋Attica)→ダイワマッジョーレ。A.P. Indy(母Weekend SurpriseがSecretariat＋Tom Fool)→エクセラントカーヴが該当。

血統表のかなり奥にはなるがコパノリチャードやマーブルカテドラルも理屈は同じ。HaloにDrone的な組み合わせを配合させることでHaloの柔らかさや俊敏性を高める狙いがある。また、現状では精度こそ低いがノーザンテーストが内包するLady Angelaを増幅させ、パワーや底力を増幅させるパターンでカレンブラックヒル、コパノリチャードと２頭のＧ１馬が誕生しているように速力を補った上でこの方面から攻めるのも手だ。

グランカマラードは母父がRoberto系のKris S.で「ナスキロ＋Ribot」持ちだからメイショウカドマツ(Tom Rolfe)やフラムドグロワール(Graustark)とよく似た配合。両馬ともにダラッした先行脚質だが、フラムドグロワールはLady Angela[5×5]の分だけ、Ｈペースの東京Ｇ１でも粘り強く走ることが可能だった。その点でグランカマラードは母、祖母ともに５代アウトのシンプルさだから重賞級とは思えないが今回の相手関係なら父のレースセンスだけで事足りるはずだ。

マイネルサクセサーはブライアンズタイム×ジェイドロバリーだから現代競馬ではスピード不足が懸念されるようなひと昔前の配合。ただ母マイネジャーダは芝1500?2000mで３勝を挙げてオークスでも８着に入線。近親にダイワバンディット(新潟２歳Ｓ)やシェイクハンド(ＮＺＴ４歳Ｓ)の名もあるように芝拒絶の血統ではないが洋芝専用機の匂いは拭いきれない。

1200mから1800mへの距離延長で血統通りの変身を遂げたペイシャオブローの父は英セントレジャーの勝ち馬ルールオブローで母方はダンスインザダーク×トニービン。おそらく昨年の函館２歳Ｓで２着したコスモシルバード(父スウェプトオーヴァーボード)を意識してのレース選択だったのだろうが父の適性が正反対だけに新馬は無駄打ち。この距離でハナを切れば連勝も可能だろう。

不良の東京1600mを出遅れながら差し切ったシゲルケンカヤマ(父ストーミングホーム)は母がグランデラ×カツラギエース×ダンシングキャップ(オグリキャップの父)だから血統的には相当地味。ストーミングホームはサドンストーム(Sir Ivor5×4)マコトブリジャール(Hail to Reason5×4)ストーミングスター(Halo4×3)など速力系クロスと好結果を生んでいるだけにこの点からも強調はしづらい。

【フェニックス賞】は将来性より今この瞬間に輝ける馬。とは言ってもメイショウボーラー、スニッツェル、ショウナンカンプ、タイキシャトルと父のカテゴリーで仕分けるのは難しい。過去５年中３年が逃げ切りだけに４角先頭を目指せる純粋な快速系か、それとも持ち時計や経験を重視したレース巧者系か。

しかしレース内容を精査すると悩む必要などなかった事に気付く。何故なら今年の場合、両方を兼ね備えた馬が該当するからだ。しかも２頭いる。8/3の未勝利戦(小倉1200m)は重馬場での競馬だったが逃げ馬が軽快に飛ばして前半3F33秒6-後半3F36秒4のバランスで勝ち時計は「1分09秒6」

同着でゴールを駆け抜けたタマモパステルとダンツメガヒットはそれぞれ[33秒9-35秒7][34秒0-35秒6]のラップを４番手から抜け出している。8/2の新馬を勝ったメイショウオヤシオが[34秒3-35秒5]＝「1分09秒8」新馬・未勝利、良馬場・重馬場と切り取るファクター次第だが今回は速さと経験で優る8/3組に軍配を上げておきたい。

とりわけ夏の小倉に強いタイキシャトル産駒のダンツメガヒットはThatch≒Special[4×5]のニアリークロス、ハイインローを内包するForli[5×5]の好形だから育て方次第で大化けする可能性を秘めているとここに記しておこう。