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2014/06/08 12:00

安田記念

炎天下だった灼熱のダービーから、霧雨の舞う肌寒い安田記念。デジャヴ。思い起こせば2004年の府中も同じような移ろいをみせていた。降りしきる雨の中を直線一閃で突き抜けたのは善戦ホースに甘んじていた6歳ツルマルボーイ。2年半ぶりとなったマイル挑戦が執念の攻勢となり待望のG1勝利を呼び込んだ。

G1での2着を3回数えながらタイトルに縁がなく年を重ねてきたツルマルボーイの再来を思わせるのが12年宝塚記念3着、13年安田記念2着のショウナンマイティ。個性的な追い込み脚質もよく似ている。ツルマルボーイにG1でのクビ差2着が2回もあったようにショウナンマイティにとっても昨年の安田記念は悔いの残るクビ差2着だった。

凱旋門賞2着で日本最強を誇示していたオルフェーヴルを大阪杯で追い詰め、満を持して切り札的一手をうったマイル戦投入だった。スタートから後方待機。前半5F通過は4F45秒3の激流。すべては思惑通りに進んでいた。直線序盤でややモタつく。それでも府中の長い直線。届くと確信を持って追い出したはずだったが、結果的に一瞬の躊躇いが明暗を分けた。

優勝した岩田康誠(ロードカナロア)の不作法により外へ弾かる大きな不利。懸命に立て直し再び前に迫ったがトップスピードからの急ブレーキは「1分31秒5」の高速決着にして致命的だった。死闘の結末はあまりに後味が悪かった。しかもあの激走の代償が膨らんだ秋への期待も摘んでしまったのだから勝負の世界は無情だ。

毎日王冠では1番人気に推されながら体調不良で力を出し切れず6着。当時6番人気に過ぎなかったジャスタウェイとの立場があっさり逆転しているのは皮肉としか言いようがない。東京新聞杯10着。産経大阪杯5着。復調への道のりは平坦ではなかった。しかしG1での2着後、安田記念前の3走で凡走しているのは偶然にもツルマルボーイとまったく一緒である。

決して衰えを感じさせる内容ではないのが光明だ。毎日王冠は前述のとおり状態が芳しくなかったし、東京新聞杯も大雪の影響で開催が1週遅れた上に長時間の輸送がダメージを与えたことは容易に想像がつく。過去(1)(2)着と得意にしている産経大阪杯での5着は物足りない印象も受けるがいつもとは異なる先行策を試みての結果。

着順は悪くても毎日王冠が上がり32秒8(メンバー2位)東京新聞杯も34秒3(メンバー2位)と好調時ほど斬れないだけで確実に脚は使っている。あとは追い込み馬の宿命でもある展開の問題も大きい。昨秋からの良化はややスローだが着実に復調を示しているのは間違いない。

この中間はコースでの追い切りが中心。騎手が跨った一週前は正直なところ脚取りに重さが残っていた。しかし現実に時計は【6F75秒6-5F61秒7-4F49秒0-3F36秒7-1F12秒6】調子が悪くて叩き出せるようなタイムではない。最終追い切りでは楽々ラスト11秒台だったように、まさしくあのひと追いで気配が一変したと考えていい。G1馬になるような実力馬にはスイッチの入る瞬間が必ずある。

道悪での競馬経験が多い馬ではない。しかも文字通り三日三晩降り続いた豪雨の影響がたぶんに残る極悪の不良馬場。ただここまで酷くなれば逆にアドバンテージと言えるほどの馬も皆無。スタミナのある中距離馬がタフな消耗戦で台頭する望外の大チャンスだろう。そう、あのツルマルボーイがごぼう抜きで栄冠を掴み取った時と同じシュチュレーションだ。ことしは11番枠。己の競馬を貫いたとき、空から落ちる雨は歓喜の涙へと変わる。


国内外のG1馬が9頭集結した豪華な一戦だがこれだけ馬場が悪ければ本来の実力は反映されにくい。ましてや低迷するマイル界。力接近と判断して大本線はエキストラエンドとした。3歳時から京都新聞杯3着、弥生賞5着と重賞好走歴があった素質馬が初マイルとなった京都金杯を契機に完全本格化の兆しをみせている。

関西馬が厳しい条件だった東京新聞杯も平然としたものでやや踏み遅れながら馬群を捌いて2着。前走のマイラーズC(3着)も京都の開幕週で枠の差、位置取りの差が出ただけで安田記念に向けてのステップとしては最適だった。母系はフランスの名血で半兄はムーラン・ド・ロンシャン2着のローエングリン。10年前、1番人気(5着)で雨の府中に屈したのがローエングリン。当時と同じく背には横山典弘がいるのは何の因縁だろうか。

「東京巧者」「妙な安定感」「父ダンスインザダーク」と10年前の上位馬の特徴を踏襲しているクラレントが3番手。母父は雨に強いNorthern Dancer系のダンシングブレーヴだ。叔父に欧州のチャンピオンマイラーだった「The Rock」がいるフィエロも目下の充実ぶりなら上位争いに加わっても不思議ない。

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