福島民報杯

2011年3月11日の東日本大震災で福島競馬場も壊滅的かつ甚大な被害をうけた
６階建ての５、６階の天井崩落、空調配管設備の破裂など施設の損壊をはじめ
福島第一原発からは約６２キロの至近距離にあり放射性物質による汚染もあった
当方も震災直後の競馬場施設の写真を拝見したがとても痛ましい光景が広がっていた
一時は福島競馬場の存続さえ危ぶまれた状況から多くの人々が再開のために尽力し
2010年11月21日以来、実に1年5か月ぶりの競馬開催、今日に至るわけである。
全場でも一番と言われるほど熱い福島県民の下に賑やかさが戻るのは本当に喜ばしい
福島競馬は春、夏、秋と満遍なく開催があるが個人的な印象は夏が強い
春のＧ１戦線が終わった祭りの後に風物詩的な役割で長く暑い夏の到来を告げてくれる
とくに暑さにまだ体が慣れていない時期に行われる七夕賞は何とも言えない情緒がある
ローカル小回りならではの駆け引きや判断をはじめ見所十分でその分攻略難易度も
かなり高めだが「福島復興祈念競馬」と銘打たれた今回の開催から久々に堪能したい。

春の開幕週を飾る名物レース福島民報杯はイメージ通り逃げ先行馬が圧倒的に有利で
４年前1200mから2000mに距離変更された後も４角で５?６番手にはいないと苦しい
2000mになった08年から3年分の傾向を振り返るとオープン特別だがまず流れは緩まない
08年「59.2」09年「58.4」10年「59.0」馬場が良い分数字ほど堪えずに先行馬が
残るケースも見受けられるが前半脚を温存している馬が捲りを成功させる事も多々ある
スピードの持続力があり時計勝負向きの馬を探したい。狙いは５歳のモンテエン
百日草特別３着後に故障に見舞われ３歳時をほぼ丸々棒に振ったが昨年は順調に使われ
９戦４勝でオープン入りを果たしブレイク間近、近２走が人気を背負って案外の結果も
新潟での福島記念(７着)は前半に行き脚がつかず４角１６番手からの競馬で
持ち味である先行押し切りの形からは程遠かったしディセンバーＳも必要以上に下げて
直線は前が壁になる不利があっての０秒４差６着だから実力を出し切ったとは言い難い
超スローだった甲斐路Ｓを上がり33秒4で勝っているが瞬発力より持続力勝負でこそは
34秒台の上がりで勝ち上がってきた戦績からも明らかでアーネストリーに近いタイプ
血統的にも父ゼンノロブロイは中距離向きのスピードに長けた種牡馬で
叔父に中京記念と産経大阪杯をＨラップで連勝したタガノマイバッハがおり
小回りを先行して粘れる血統に仕上がっている。積極的な後藤騎手で一変を期待する

ヒットザターゲットは初の重賞挑戦となった中日新聞杯が馬群を捌いて内から迫る、
好内容の４着だっただけに不慣れの左回りでスタート後ややもたつき位置取りを
悪くしたのはもったえなかった。本来は攻めていく脚質だけに右回りに戻って前進必至
単騎逃げが見込めるトランスワープもマイペースなら最大のチャンスだが
２連勝がスローでのもので後続にマークされ圧力をかけられると脆い可能性も残す
牝系にCaerleonのいる良血ダノンスパシーバも着順ほど負けてはいないので見限れない。