マーガレットＳ

◆矛盾した配合の意図
キリシマトリオの父ウインラディウスは京王杯ＳＣを含め東京コースで重賞を３勝した馬
爆発的なスピードと切れ味を武器としていたスペシャルウィークやサクラプレジデントと並ぶ、
サンデーサイレンス×マルゼンスキー配合の代表馬。ただ種牡馬としての成績は低迷している
現役時代の長所を生かさない手はないと思うが本馬は正反対であるパワー志向の強いブライアンズタイムの肌
何故だと首を傾げた末に血統表を眺めていると生産者の思惑にぶつかった。しっかり意図があった
マルゼンスキー≒クイルメーカーの二アリークロス[3×3]にNorthern Dancer≒ノーザンネイティヴの[5×4]
後者はともかくとしても前者は極端な近親配合の関係にあり一か八かの賭けに出ている
活躍馬を多数輩出している名牝ビワハイジの産駒の中でもブエナビスタが他の兄弟と一線を画したのは
父がスペシャルウィークだったからでこの配合だとマルゼンスキー≒Caerleonの[3×2]が発生する
二アリークロスは他のクロスの活力を増す要素がありこれによりナスキロの柔らかさが増幅した
二アリークロスは健康的な害こそあるが血統の全体的な底上げに繋がると考えて差し支えない
ＳＳ系×ブライアンズタイムの組み合わせには最近だと菊花賞３着馬のビートブラック(父ミスキャスト)
ただ母系にBlushing Groomがあり距離が持つビートブラックに比べ淡泊なロイヤルスキーでは適性が短いのも納得
実は母父ブライアンズタイムの成功馬はエスポワールシチー(ＪＣＤ)ブルーコンコルド(重賞２勝)
サンライズペガサス(産経大阪杯２勝)テイエムアンコール(産経大阪杯)など揃って阪神コースに強いのが特徴
キリシマトリオの前走は今回と同じコースを緩みないペースで逃げて血統通りの内回り向きの渋とい脚で勝利
フローラルウォーク賞では控えて２着しており展開に注文もつかない。見た目は地味でも楽しみは随一だ

◆アメリカンのパワーで捲る
ニシノビークイックの祖母ニシノファイナルは桜花賞などを勝ったニシノフラワーの半妹で
派生した血筋からもマヤノライジンやニシノシンフォニー他、重賞でも陰ながら走っている馬は多い
ニシノファイナルはナスキロ持ちで父がデュランダルとくればキレキレをイメージするがそれは皆無
Danzig→マラキム(米)の後にパラダイスクリークをつけているのでかなり米血がくどい感じで
ここまで９戦して上がり34.7が最高の戦績通り切れる脚は使えないから好走には上がりの掛かる展開が不可欠
その意味では時計が適度に掛かっている今の阪神は申し分ないだけに乗り方ひとつで勝ち負けになる

◆ゴールドヘイローの限界
朝日杯ＦＳで早目進出から４着に粘って評価を上げたトウケイヘイローはここ２戦が凡走
内伸び馬場で壁が作れなかったシンザン記念(４着)に落鉄したファルコンＳ(１０着)とは確たる敗因はあるが
一番はダート色が濃く底力に欠けるゴールドヘイローの天井を見ている気がしてならない
成長面でも疑問が残るだけにこの条件で上位争いできないと自然とフェードアウトだろう

マスイデアは父リンカーン×祖母がリンデンリリーで消耗戦向きの短距離馬になった
前走の500万戦がまさにＧ前までモツれて追い込みがハマったレースだったが流れ次第では台頭の余地十分
レオアクティブは父アドマイヤムーンで近親にブレイクタイムだから気性さえまともならマイラーだが
相変わらず難しい面がありそうだしパンパンの良馬場でこその決め手、内回りの1400mでは評価は下がる
ビウイッチアスは母系の影響でこの条件は合うが隙なく乗ったＦＲで２着のあたり打ち止めは否めない。