47件のひとこと日記があります。
2011/11/14 01:02
サイゴン紀行(3)
*競馬と関係なし*
別にカサノヴァでも何でもない自分でも、今まで、何人かの女性と待ち合わせをしたことがある。
どれもそれなりに緊張したけど、サイゴンで待ち合わせをしたときはかなり緊張した。
1時間前からスーツを用意し、30分前からルネッサンスリバーサイドホテルのロビーで待機。
何度か、意味もないまま1階と2階を往復したりもした。
すぐ来てくれればよかったのだけど、残念ながらなかなか相手が現れてくれない。
約束の時間から30分を過ぎた後、さすがに内心あせりだした。
あまり考えすぎるなと、何度か、自分に言い聞かせながら、
日本にいた頃に見たアメリカ映画『グッドモーニング, ベトナム』等を思い出したりもした。
ホテルのすぐ前は、サイゴンリバーで、往来を絶え間なくひとが行き来していた。
よく見ていると、一台のバイクに、家族4人でまたがって乗っていたりもしていた。
どうしたらああいう乗り方ができるのか不思議でならないが、それも生活の知恵というものらしい。
やがて、ふと顔を向けると、白い洋服を来た女性が近づいてきた。
髪にカールがかかっていて、ちょっと見わけがつかなかったが、
一言二言話をしたら、すぐ、待ち合わせをした相手だとわかった。
急いでホテルのロビーに入り、丁度ソファーでくつろいでいた母に紹介した。
彼女は、大きな蓮の花を母に渡してくれた。
自分は、このとき、はじめて、蓮の花を見たような気がした。
たしか、ベトナムを代表する花だったが、エキゾチックで、アジアンなイメージにぴったりだった。
花束を受け取ると、母は、とても嬉しそうにしていた。
それを見て、はじめて、自分は母を連れてきてよかったと感じたものだった。
思えば、今まで、何人もの女性に好きになったりもしてきたけど、
そのうち、いったい、誰が、自分の家族に花を渡してくれたのか。
今まで、恋とかしてきたつもりだったけど、改めて振り返ると、どれも違ったんだなと思えてきた。
日本にいた頃、最初に会ったときはベトナム語でこう言うとか、いろいろ用意したのだけど、
いざ、対面すると、咄嗟にベトナム語がなかなか出ず、英語でようやく挨拶をした。
その時、日本で用意したベトナム語の単語カードを見せたら、
相手はその中から一枚を取り出して、これ、解ると訊いてきた。
「Chao」
チャオ、ベトナム語で、「こんにちは」という意味です。
母は、受け取った蓮の花をとても気に入って、日本に持ってかえると主張したが、
あまりにも大きすぎるので、ホテルに交渉して、フロアに一部飾ってもらうことにした。