47件のひとこと日記があります。
2011/11/12 18:25
サイゴン紀行(1)
昨年の今頃、自分は、あるベトナム人と知り合い、メールで会話をしていた。
もっとも、自分はベトナム語を話せないので、英語でのやり取りだった。
あれから一年が経ったのかと思うと、月日が経つのは本当に早い。
その頃、自分は日本という社会が正直なところ嫌で仕方がなかった。
ベトナム人と友達になろうとしたのも、別に国際派を気取りたいからではなく、
単に日本の社会から離れたかったのかもしれない。
メール相手は、サイゴンで働いている真面目そうな女性。
真面目そうという表現は、まだ、写真を通してしか、お互いに知らなかったから。
勢いでサイゴン(ホーチミン)で一度会おうという話になったのだけど、
チケットを手配した矢先、自分の家族は大騒ぎになってしまった。
自分がいない間に両親がチケットを受け取った所(よくある話)、
まず、旅行先の国名に驚いたらしい。
帰宅したら、こわばった顔で問い詰めてくる。
向こうである人と会ってみるんだと言ったら、国際結婚かと逆上してきた。
その後の喧々諤々の騒動は、早く忘れてしまいた。
とにかく、母が心配して、一緒に旅行に行くということで何とか落ち着いた。
でも、自分は内心、とても変な気分だった。
メールのやり取りはしているといっても、なにせ、はじめて会う相手。
いきなり母を連れて行っていいものかどうか。
やるせないまま、旅行会社に再度チケットの配信をしてもらい、
母と二人でのサイゴン旅行となった。
母は、夢のようだといい、
妹は、ベトちゃんの国とかいい、
父は、こわばったまま。
そんな家族をしりめに、自分は、サイゴンにある競馬場にでもいってやろうかと、
呑気なものだった。
俗に、競馬場は、その国の国力を示すバロメータになるという。
ベトナムには競馬場は一つしかなく、騎手が小学生で、馬はポニー。
近代化の波から完全に取り残されたその競馬場は、
なんだか、必死にもがいているベトナムの現状を示しているようでもあった。
慣れない言語で馬券が変えるのかと、一応、現地の数字は覚えたものの、
いらぬ心配をしながらの旅行となった。