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2019/06/29 01:04
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この人は、なぜそんなにお見合いを勧めるんだろうか。
考えてみれば、変な話だった。 どのみちぼくと付き合えるのは――いや、ぼくと付き合って死なないのは、どちらみち数人しかいない。
もううんざりだった。
この身体がある限り、あらゆる他人が集り、ネタにして搾取して研究されて妬まれて恨まれて蔑まれて、友人が殺されて、大事な誰かが、居なくなって。
ぼくに付きまとえないようにと、付きまとって――――
「幸せなんか、あり得ない
。絶対に、なれやしないです、ぼくは」
だから、わかっている。
彼女が手遅れかはわからないけど、少なくとも、自分よりは幸せであってほしいものだ。
「誰からも憎まれて生きていくのが、趣味みたいなもんですしね」
彼と、目が合った。
合っただけだった。
いつも輪の方から逃げていくから、ぼくはいじめられることすらもなかった。
愛し合って、どうにかなるような綺麗事は本心から、嫌いだ。
「変わった趣味ねぇ」
おばさんは感心したように呟いた。
「人の趣味は千差万別です」
ぼくは言う。まあ大体は勝手に憎まれるんだが。
こっちに強引に絡んだだけで、その人たちはゲームオーバーが決まっていた。いままで、ずっと。今は、なんだか、さすがに畑が、少し違うみたいだけど。
「僕は他人なんかどうでもいいよ。わざわざ憎まれも好かれもしないね、馬鹿馬鹿しいし」
彼は彼でそう言った。
好かれようが嫌われようがどうでもいいからだったのだろうか。
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