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2019/06/27 21:38

102

     ◆

三人と、おばさん。
 まず『彼女』が話したのは、おばさんが田中という人を仲介した後付き合い続けていると思っていたというものについての事後報告だった。
 マエノスベテに傾倒していたウシさんが怒った理由の背景におばさんのおせっかいが絡むだろうということは、あそこまでのことがあれば誰でも推測がつくことだろう。

それとなく、『彼』についてもぼくらはおばさんに付け足した。
「ほー。田中さんと、『その彼』、かつて付き合いがあったけど、知らんかったかね」

「いや、たぶん『知っています』」

答えたのは、ぼくの友人の彼だった。

「知っているからこそ怒り狂ったのでしょう。田中さんと、彼女に付き合いがあることにされる話が、少なくとも数人に広まる。数人に広まってもやがては、街全体に理解が及ぶはずです、マエノスベテ――いや、
あの人が、フラれた、と。
そりゃあ大ニュースですからね、あれだけ、さわいでれば」

「何かされたの?」

おばさんの問いに、彼女は、なにも答えなかった。一気にリヒャルトシュトラウスと言おうとして噛んでしまいもう一度口にするのが畏れ多くためらわれるような、そんな感じがした。

「でも、それで今更『派手』という言いがかりをつけるものかな、ウシさんは、他人の派手さには興味無さそうだったじゃないか?」

ぼくは彼、に振ってみる。

「さあね、前から思ってたのかもしれないし、何かあったかもしれないし?」

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