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2019/05/31 22:07

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そんなわけでしばらく歩いて店に向かう。
 ラーメン屋の入り口には、食券の販売機があるコーナーがあり、ここからチケットを購入してレジに向かうようだった。
あまりこのような場所に来ないので、なんだか物珍しい気がする。

「お金あるの?」

ぼくははっと我に返り、聞いてみる。

「どうせ昼食は外になると見越してたから、持ってきた。君のも払うよ。あとで返してくれ」

用意周到だった。
タッチパネルを押すと、いらっしゃいませ、と丼のイラストが浮かび上がる。それを押すと金額とメニューの表が、ずらっと並んで居た。壁にも同様にメニューが書いてあった。

「これじゃただ食べに来たみたいだな」

「食レポはしないよ」

レジで注文をして、箸などをとって向かい合って席につくと、来ていた周りの客がちらりとこっちを見た気がした。
穏やかに注文を承るレジ側と、雰囲気が、違う。


「事件の……」

「ほら、あの子って」

ざわざわと、席から声がする。いろんな声。

「目を合わせるな」

「あの店行った?」

「俺がこの先輩だったら、殴り付けてますよー、わざわざ、雨の中助けたのに、この後輩なんすか生意気」

「やっぱり、凍らせ過ぎたらほぼ水みたいな味になるじゃない?そしたら甘さが」

「あら、あの子」

「こっち向いてー!」



 耳を塞いでしまいたいのに耐えていると、しばらくして注文が届いた。メシテロ小説じゃないのでそのあたりは割愛するが、それなりにおいしかった。

 彼は食べ終えた後、店員が片付けにくるタイミングで替え玉無料の日に来た客について聞いていた。
いつ撮ったのか、なにかから入手したのか、『マエノス』の写真を彼が携帯の画面に映して指す。
このときの店員は頭に黒い頭巾をつけた青年だった。

「あぁ、たぶんそのくらいの日も居ました。俺も居たんですが、女性とその男性でしたら印象に残ってます、わりとたまに、此処に来ますよ。独占欲というか彼女大事にされるみたいで、テーブルにご注文を置くときに……いや、もう戻りますね」

彼は最後に、その日付を聞くのを忘れなかった。
恐らく、と先週の金曜日を示してくれた。

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