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2019/05/16 23:25

51

「だからね、あなたいい加減にしなさいね?
この写真の女以下なのよ? 挨拶も出来ないわ、恵まれても感謝も出来ないわ、すぐ誰彼話しかけにいく! 年長者の言うことも聞けない!」

「そ――そこまで、私が、悪いことをしましたか? どんな悪いことですか? それはどういう罪なんでしょうか、私は、ただ自分の部屋くらい好きに使いたいだけです、どんどん狭くなっていきます。
マエノスベテだって、なぜ、他にあちこちで付き合いながら私のもとへ来るのですか、私は彼が羨ましい、あなたが羨ましい、なぜ私は他人とも話せず、どこへも行けず、しゃべることも笑うことも、批難されるのでしょう、なんのために生きるんですか?」

彼女はすぐに、はっ、と気がつき、戸惑った表情になる。

「ご、ごめんなさい、私、年配者と口を聞いてしまった!! あぁ! 独り言です、これは、聞かなかったことにしてください」

 余程思わずだったようで慌てて口を押さえて、二階へと上がって行く。なんだか現実のこととは思えなくてぼんやりと聞いていた僕も我に返る。

「ウシさんは、《彼》のお知り合いですか?」

「あなたには関係がない、早く、帰りなさい」

 
 今、彼女は平気だろうか?
それが気がかりだったがウシさんがかなりイライラしているので長居は出来なさそうだった。押されるようにして、廊下に放り出される。
後ろ、さっき出てきたドアの向こう……の上の階だろう、頭上からバタン、バタン、と暴れるような鈍い音が何度か聞こえてくる。二階だ。

「人生を終えてくれ!
人生を終えてくれ!
人生を終えてくれ!
頼むから!
人生を終えてくれ!
人生を終えてくれ!
一生を終えてくれ!」

叫び声がしている。
なんだか懐かしい気がした。
感傷に浸る場合ではなくて、慌ててドアに手をかける。
恐らくそれはウシさんの声だった。

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