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2019/05/13 22:39
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部屋に戻るとウシさんが「あら、まだ居たの」というふうにあきれていた。
「あの……」
ウシさんに、少し言いすぎじゃないかと口に出しかけたが、どうにか留まった。
「心配しないでください、あれはちょっと辛口なだけの批判ですから」
彼女が申し訳なさそうにそう言ったからだ。
「本当です、ここへきてわざわざ嫌がらせする貴方がたと同列にしないでください」
ウシさんも頷く。
「ほんと、あの方は常識がない。何年も前から利用してきたうちの山のことまで持ち出して!」
ウシさんはやがてぶつぶつ、呟き始めてしまった。
フラワーアレンジのための素材となる植物を取りに行く場所があちこちにあるというようにウシさんは語っていたが、もしや、それが鍵のひとつなのだろうか。
「山について言われたんですか」
彼が、ウシさんに確認する。
何か思い出したらしくウシさんは強い口調で叫んだ。
「許可なら取っている! あの女から言われるようなことはない! あの山も、この山、どれも同じ自然なのだと以前から言っています。
茶会にも居た口でよく言える」
五年近く続いているのに、少し前、三年目程に入ったお節介おばさんから勝手に山に入るのはどうかと『今更』言われたらしい。
「なるほど、怒りの原因はこれか」
彼は一人納得する。
「しかし、許可を取っているかどうかでそれほど激昂しなくても。……失礼ながら、心当たりがあるのでは?」
「あんたたちこそいきなり来て嫌味だよ! どの口が言ってるんだ!」
今度はぼくらに飛び火した。
「それは、ウシさんが心配で!」
彼女が慌てて付け加える。
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