184件のひとこと日記があります。
2019/05/11 00:27
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やがて――――
「じゃーん!」
と出てきたナエさんはいつの間にか、やけにハデなメイクになっていた。
ギャル……?
来たときの清楚感と別人みたいだ。
「ど?」
「うん。一度その格好で外で、弁当買ってきてくれないか?」
彼は真顔だ。
ぼくは、ただ感動していた。
彼女は、ぱちぱちと手を叩く。
「嫌だ、私はおかずを買いたいんだ。お弁当なんか買いたくないんだ!」
そこかよ! と、思わず突っ込みたくなったがやめておいた。
「おかずは知らんが、ナエごん、行ってらっしゃい」
「いってきます」
ナエさんはハデメイクのままで階段を上がっていく。
二階にはウシさんが居る部屋がある。
彼女が何かしにいった間、彼が説明してくれた。
「派手、というならきみの蒼い『けもみみ』だと思ったんだが……さすがにね」
「なるほど、ウシさんを試すのか」
確かに、身体についてさんざん言われ続けてきたぼくには、改めての批難はキツかったかもしれない。
『けもみみ』と暗号的に言われると少しなんだかモヤッとしてしまうけれど、甘んじて受けるしかないのだろう。
「今日次第では、改めて集まるかもしれない」
彼は言う。
今日でウシさんが何に怒るかが判明するのなら早いのだが……
「そのときはお茶会に参加していた他の人を呼びたい。見つけやすいようにその写真を送ってもらってその格好で外まで来てほしいんだ」
彼が、彼女に言うと、わかりましたと頷いていた。
二階からは「びっくりした!」
という声がした。
けれど、そのくらいで、
ギャアア! とか期待するようなリアクションも聞こえなかった。
「だめっぽいね……」
「みたいだな」
ぼくと彼は口々に言った。
派手なだけではウシさんは機嫌を損ねていないみたいだ。