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2019/04/22 20:32
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「フリンカではありません!」
私はある日、ついに涙を堪えながら叫んだ。
「ウワキダでもありません!
なんですか、あなたこそ、私の名前をフリンカと間違えたままじゃないですか!」
《彼》は、激昂した。
「知らないフリをするのか、この、たわけ!」
《彼》は恋愛というものの経験が豊富だった。
そして自身の理解を押し付けることに充足感を得ていたのだ。あまり理解のない人を見ると自分と相手の間にある暴力的な気持ちをおさえきれないのだろう。
「フリンダ!」
彼は新たな変化系呪文を唱えて、私を殴り付けた。
わけのわからないことばかり唱えては、一方的に殴る、蹴る。
あまりにも私を否定する不気味な存在となっていた。
彼は私の名前を呼ぶことはなく、いつも違う方の名前を呼びつけていた。
特に気に入っている方が、フリンカ、フリンダ、ウワキダ。
でも、それらが誰かについて聞こうとすればいつもより顔を真っ赤にさせた。
「ふざけてんのか? お前がフリンダだろ! なぁ?」
私は、いつのまにかフリンダという名前に改名したのだろうか。
フリンカは政治家。
フリンダは、オーストラリアにはフリンダーズ川があるという話は聞いたことがあったので、その集落の方なのだろう。
ウワキダは、わからなかった。浮気なのか、上木田なのか。
ただ名前を呼ばれたかったのに、彼は、フリンダしか見ていない。
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