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2019/04/20 00:07

21

 3つ、カップに茶が入った後彼女は我々の目の前の席についた。

「お砂糖やミルクは?」

「僕は要りません」
「ぼくもいいです」

「そうですか、では戴きましょうか。いい香り。フルーツのお茶は特に渋味や酸味を感じやすいけれど、これは調度いいです」

「そうでしょう、僕も気に入っていますから」

ぼくは、そんな二人の会話を聞き流しながらきょろりと辺りを見渡した。
 女性らしい清潔さのある部屋だ。ここでお茶を飲んでいる時間がなんだかそわそわと落ち着かない空間に思えていた。
ケーキにフォークでゆっくり切り込み、食べる。それは、優しく甘い香りがして美味しかった。
「怒るときの様子はどうでしたか?」

「今は片付いて居ますが、ガラスが割れ、花飾りがぐしゃぐしゃにされて投げられて、ミルクがテーブルに舞い散りましたね。ウシさんはそれで彼女の使っていたカップを自ら割りました。とにかく激しい癇癪をおこしていました」

「何か飲んでいたときだったと言うことですか」

「えぇ。だと思います」

「大体の様子はわかりました。
あの。食事中ですが、少し思い出すことがあるのでメールを……」
「どうぞ」

彼がメールを打つ。誰へ打つのかなど想いながらぼくはケーキを味わっていた。
が、ポケットが、ブルブル震えた。

「えっ!」

思わず立ち上がる。
様子に彼女が思わず吹き出すので、少し彼、をにらみながらぼくは着信に応えた。

『おばさんの番号は?』

がそこに書いてあり、なんだか紳士的と逆の雑な質問の文面に苦笑いしそうになるが、電話帳を開いて番号を貼りつける。
ついでなので、質問もしておいた。
『彼女の夫は、どうしているんだろうか。なんだか聞きにくいけれど、立場によっては迷惑がかかってしまう』

ぼくは、廊下に居たあの『ドレスを着た女神』についてを思いだしていた。

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