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2019/04/19 23:33

20

「えぇ、そうですね、そんな気がしますわ」

 気を遣うのか曖昧に濁しながら彼女は答えた。汗でもかくのかエプロンの裾で、手をしきりにぬぐっている。

「ああ、そうだところで、昨日知り合いからブルーベリーティー用のバッグを戴いたんで、此処にあるんですが、お好きですか」
 彼女の動揺と対極的にいつの間に用意していたのか、彼は穏やかな様子でポケットから取りだしてそれをひらりと振った。
「素敵! 折角ですもの。このまま席で一緒に戴いて良いかしら」
「もちろん」

 ぼくと彼は頷いた。
程なくして、カップを暖めるために熱い湯が注がれる。
彼女がそれをこなしながらも何やら苦悩した表情だったのが何だか気にかかってしまった。

「実は、叔母さんから聞いた話には続きがありましてね、

ティーバッグがひとつめのカップに浸かる間に彼は言う。

「それがどうにも、叔母さんに直接文句を吹っ掛ける程の怒りであったということですから、彼女が原因かもしれません。

もしもその話し合いで済めば、開けないだなんだというような話にはならない気がしますが」

「わかります、解決なさらなかったでしょう?
だから問題なのです。
皆、何に対してそれほどまで怒るのかに見当が付かなかったために止めるにも止められず、仲介ともいかず……ただ、激しい怒りを時折り聞くのみです」

「貴女には、何か?」

「いいえ、特には」

葉が湯からはずされ、お茶が入れられたカップに一旦蓋を被せながら彼女は首を横に振って、棚を見上げた。

「棚にジャムがあったはず……」
「お節介叔母さんのそのときの格好は記憶にありますか」

「なぜ、そのようなこと」


「派手なのがいけない、と言うような苦情だったと聞いたのでね」
「……花柄の、前にテレビで観た、オオサカで昔流行ったと言われる強烈な色使いの花柄のスカートと、黒い上着でしたよ。派手なのはいつもです」

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