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2019/04/08 20:40

18

「祖母が機嫌が悪いと、この家で、教室が開けなくなります、それで、どうにかならないかと思うのです」

 彼女はケーキを切り分けながらそう言った。現在は大学を辞めて働き出したたあたりのようだった。

「給料が高いわけではないですが、それなりに生きられればいいと思うの」

日本は学歴社会だけれど、みんなが知っているあの有名な会社の経営者、社長などのいくらかは、実は大学を辞めて会社を建てているのだという。
日本もいづれはそうなるかもしれないと『彼』は続いて呟いた。
「いろんな年齢が入り乱れてるだろ、僕もあのギャップが受け付けないね。大人は働くものというイメージがありすぎたのだと思う」

そういうものだろうか。
大人は働くものというイメージは、とはいえ、ぼくも強い方だった。家庭の事情で、家族は常に忙しなく働いていたと思う。それが同クラスの学生となればイメージとギャップが生まれるのは仕方のないことだ。

 高校生だったぼくはちょうどそのあたりに神経質になっていて「どうしようか」と改めて悩んでいたために、この話題には真面目にならざるをえなかった。少し前にオープンキャンパスがあったけれどどこかお嬢様、お坊っちゃま、学生気分の大人のための場所、というか、そんな感じがぼくもいくらか馴染めなかったりして居る。
 もしかするとこうした『無理をしない』道もあるのだろうか。そう考えると少しだけ視界が開けるような感じがした。


 「はい、どうぞ」と出されたケーキはわざわざ客用に用意されていたらしく、流れでご馳走になることとなった。

「ちなみに……これが初めてですか」

細いフォークを渡され、それぞれ受けとるなか、彼が質問する。
「機嫌を悪くされたのは」

「初めてでもありませんが、そう、滅多にないのです」

「なるほど。ちなみに茶会というのは、教室の人たちの集まりですね?」

「えぇ、そうです! そうでなく友人をここに招いたのはあなたたちで久しぶりです」

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